さいとう

ゆれる人魚のさいとうのネタバレレビュー・内容・結末

ゆれる人魚(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ここまでがっつりミュージカルとは思っていなかったんだけど、曲調が自分にはとても合っていたのですごく好き!!
オープニングから好みだったんだけど、
フレスコ画のような色彩で描かれる、人魚たちの残酷な営み。
夜の海辺(川辺?)、水面から顔を覗かせて人魚の姉妹が歌い上げる「私達を岸にあげて、怖がらなくてもいいわ、あなたを食べたりなんかしない。」
この一連の流れで心をぐっと掴まれました…!!
この歌のシルバーが透き通る高音パート、ゴールドが不穏な低音パートを担当する時点で、結末の伏線を貼っていたのかなあ。

人魚のヒレが鰻のように長くヌラヌラと光を反射する描き方もとっても好き。
洋服を買いにショッピングへ行く曲のサビとところで「アッアッアッアー↑!」とスタッカートで歌うところや、初舞台の曲とおおきなカクテルグラスのような水槽に浸かる演出も絵的にきれいにだった。
あと、姉妹がイルカの超音波みたいに会話をする設定、しゅき!!
そう、もうビジュアルと音楽が圧倒的に好みなんですよ。だから好き嫌いはすごく分かれると思う。

ゴールドが恋人のために声と引き換えに脚を得る描写の無茶苦茶な手術シーンを見て初めて、
ああ、これはおとぎ話なんだなと気がつく(遅いw)。

そこからはもう予想道理のストーリー展開で、
シルバーの恋人がぽっと出の女に心変わりして結婚式を見届け、自分が生き残る最後のチャンスにも元恋人に抱かれて美しく微笑んで泡になる。
わかってはいたし、他の映画でなら陳腐と笑っていたかもしれないけど、なんだか泣けてしまった。 
あれは何なんだろう。正直説明ができない。

一番予想外だったのはせっかくシルバーが生かした男を怒り狂ったゴールドが噛み殺した事だけどねwww
シルバーの命を懸けた決断とはwwwってなったけど、泣きながら海に帰っていくゴールドを見るとあまり責める気にもなれない。
まあ人間を肉としか思ってない別の生き物だし、人間だって人を殺した熊を殺したりするもんな。一緒一緒。
多分私は人魚たちにクソ甘いw

鑑賞後の余韻としてはフランス版の「美女と野獣」に近かったような。

最後の最後に毒を吐くと「人魚ブスやんwww」って俳優の容姿の好みで映画を評価するやつは一生芸能事務所ゴリ押し系の映画だけ観てろよよと思います。
さいとう

さいとう