このレビューはネタバレを含みます
ロビー活動を専門に依頼を受ける仕事があるんだ〜、へ〜なんだかとってもアメリカ~ン。
などと全く予備知識無しに鑑賞。
結果とても面白かった!
脚本の構成もワクワクする感じ
題材は「銃規制強化派」vs「銃規制強化反対派」のこれまたアメリカ~ンな話題に着目しがちだけれど、メインは
●ロビイストの生き様 を主軸に
・ロビー活動と言う、活動対象の正否は問わず勝たせる事を目的とする仕事。
・アメリカ連邦政府(だけだとは思わないけど)の政治システムの腐敗。
この2つをうまく絡めて三編みみたいにしてストーリーが構成されているところが分かりやすくて面白いんだと思う。
エリザベスの病的に細く張りつめた身体、血の気の引いた白い顔を補う赤い口紅、恐らく隈を隠すためであろう濃いアイメイク、常に覚醒状態を保って敵の一手と更にその先を読む為に飲用している(と思う!)薬、交感神経高まりっぱなしの生活でやっと呼吸が出来るのがエスコートサービスの男性と体を重ねているときなんだろうな、という全てがロビイストとして生きるエリザベスを巧みに描いていると思う。
エリザベス 寝ろ!!!ご飯ちゃんと食べろ!!!
おばさん心配!!!!
ロビイストとしての生き様というのはエリザベスを構成する要素を含め、エリザベスの策略に利用され巻き込まれていく人々という描き方で良くわかったけれど、
ロビイストとしての生き方の中に「エリザベス本人」が滲み出していい味を出しているのも魅力的。
ただ
・なぜエリザベスは勝利に執着するようになったのか
・フォードだけに本音で語った「生きるために嘘をつくしかなかった、だから嘘を付くことがうまくなった」という過去には何があったのか。
・エリザベスは本当に「チャレンジ精神」のみでロドルフォの元に来たのか。
・エリザベスの本当の「信念」はいつどのように形成されたのか。
が私にはきちんと読み取れなかった。
読み取れなかったので原作小説か何かないかなと思って探したけど無かった…!!!!
気になるなぁ〜。
ここまで描くと映画としてのエンターテイメント性が喪われると判断してズバズバカットしている所も非常に好感が持てます。
エズメが暴漢に襲われて、エリザベスがおそらく本当に心からエズメに謝罪というか申し開きをする下りが、大事な道筋なんだけど
エズメの役が黒人系の俳優さんということで
(あ、やはり「黒人女性は白人女性を学ばせるための装置…」なのね)と思ってしまった。
本編の「『皮肉だね』って言う奴のほうが大体皮肉屋」という言葉が胸に刺さる。
最後に「女神の見えざる手」っていう邦題はくそダサいと思いました。