さいとう

ジョーカーのさいとうのネタバレレビュー・内容・結末

ジョーカー(2019年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

話題作で期待していただけに鑑賞後は非常に残念な気持ちになった映画。
あの映画をこう、真っ直ぐに解釈するのであれば
「アーサーは偶然にも不幸な家庭に育ち、不幸にも理解されない病を負い、社会に黙殺された一人の人間。可愛そうなアーサー。彼のの中で育まれ爆発した怒りや狂気はどの人間にも内在している。そう、誰もがジョーカーなのだ。」みたいな感じなんだと思うけど。

ジョーカーってそういうんじゃないじゃん!!!!!
ジョーカーっていうのはもっと狂気に満ち満ちているのでは?
常人に理解され、憐れまれるジョーカーとは…?
そんなんジョーカーじゃなくていいんだよ。誰でもいいんだよ。(当社比)

この映画には不満点が諸々
●狂気に傾いていく描写が浅い。
アーサーが冷蔵庫の中に閉じこもる描写があって、(おっ、どんな映し方するんだ?)って楽しみにしてたのに、即終了。狂気じみた人って変なことするよねっていう感じの映像。そういうのいらん。

●アーサーの壊し方が足りない
アーサーがジョーカーになるにあたって、
確かに不運で不遇で、社会は彼に不親切で不条理は無情に彼を襲い、唯一愛してくれていると思っていた母の愛も嘘にまみれていて、辛い。無理、やっていけない
んだけど、アーサーの潰し方が足りない、圧倒的に足りない。
バッドマンと対峙するジョーカーを思い出してほしいんだけど、もうそんじょそこらの狂気ではない。
絶望的で救いのない狂気にアーサーを染め上げるには、足りない。

●映像の演出が中途半端
上では狂気の描き方として書いたけど、猟奇性、メッセージ性、映像の美しさ、全ての描き方が中途半端。
良い映画、というか人の感情を動かす映画って、プラスにもマイナスにも気持ちが傾けばいいんだと思っている。
映画だけではなくアートや音楽なんかも、気持ちを幸せに、悲しく、不快にできたものが「感動する」作品なんだと思うんだけど、この作品にはそれがなかった。
どうせ救いがない話ならば、徹底的に不快感を煽る話にしてほしかった。

一つだけ好きなシーンをあげるとしたらアーサーがピエロメイクをしてベストをびっしりキメて階段を軽快にダンスをしながら降りてくるところ。
毎日苦しく、苦々しい、窒息するような気持ちで、どうにか社会に溶け込もうと登り続けていた長い階段を、転がり落ちるように、しかし陽気に降りて(堕ちて)行く様子は清々しかった。

冒頭で述べたようなメッセージ性だけを捉えるならば、まあ社会への警告もあって面白いのかもしれないけど、
これジョーカーの話だから。
なんか物足りなかったよね、私はね。
2回は見ないかな!

追記:色々なレビューを見ていて一つおや?と思ったこと。
私が普段からホラー映画やゴア、鬱映画を偏って鑑賞してるから感覚がおかしくなっているだけで
この映画は十分に悲惨で絶望的でグロい映画なのかもしれない。
その答えに笑うわww
さいとう

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