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エジソンズ・ゲームのkenのレビュー・感想・評価

エジソンズ・ゲーム(2019年製作の映画)
3.8
電気には交流(AC)と直流(DC)があることは広く知られている。前者は家庭用の壁コンセントや天井照明に使われている。後者は乾電池、蓄電池、ACアダプターである。

物語は1880年代後半、米国の電力送電システムの覇権を巡って、交流を提案した実業家のウェスティングハウスと直流を推奨したエジソン・ゼネラルエレクトリックとの間で起きたビジネス・バトルを描いている。英文のタイトル通り「電流戦争」と呼ばれ、現代の交流送電システムの礎を築くこととなる。

発明王トーマス・エジソンを演じるベネディクト・カンバーバッチの感情剥き出しの演技とウェスティングハウス役のマイケル・シャノンの熱演が共に素晴らしい。交流側についた発明家テスラ役をニコラス・ホルト、エジソンの助手をトム・ホランド、そしてエジソンの妻をキャサリン・ウォーターストンと豪華キャストが共演している。

エジソンは先行して白熱灯や電動機に供給する直流送電の構築を進めていた為、交流陣営と激しく対立する。送電システムの黎明期に起きた交流 対 直流の選択を巡って起きた事件や技術開発は関心をもって観られた。

交流も直流も現代までそれぞれのメリットを活かして、人々の生活の利便性向上に役立つべく大いに貢献している。約130年前にその様なバトルを経て今日の電気による世界の繁栄があるのかと思うと感慨深い。我々は彼らに感謝しなくてはならない。
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