まいたけ

南瓜とマヨネーズのまいたけのレビュー・感想・評価

南瓜とマヨネーズ(2017年製作の映画)
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魚喃キリコ先生を初めて知ったのは、初めて買ったガロの表紙(1993年6月号。年がバレますね)で、掲載されてた作品は、なんかテキトーな絵を描いたらそれがめちゃくちゃ理想の女子で、そんな女子を街で探すものの全く出会えず途方にくれてたときに家の中で見つけた一枚の写真がその理想の女子だった! 母親にその写真の女性が誰か尋ねたらなんと…という内容の「イカス女」だった。もう一発で好きになった。出版された単行本は全て買ってるし、魚喃キリコ先生がデザイン科の専門学校に行ったというから大学やめて専門学校に入り直しましたよ。
そんな魚喃キリコ先生フリークの私は、不意に魚喃キリコ先生や豊田道倫のような破滅的な情愛劇をみたり聴きたくなったりする時があり、出張中にiTunesストアでレンタルした。

臼田あさ美の細さはたしかに骨格から魚喃作品の細さで、特にジーンズを履いた引きの画では魚喃先生らしさが際立つ。

せいいち役の太賀という人は知らなくて、ずんぐりむっくりとした人だなぁ…と思っていたけど、最後の歌がよくてすべてふっとんだ。アイデン&ティティの峯田とか勝手にふるえてろの黒猫チェルシーの人とか、そういう枠かな? と思って調べてみたら、中野英雄の次男とのこと。そう言われたら何となく似てる。

ハギオのオダギリジョーは…なんか憎めないやつになってたな。ハギオが憎めないから原作とは違う趣になってたけど、原作の通りのダメ男で、オダギリジョーにこいつ最悪やな…! て感情を持つのも悲しいからそれはそれでよし。1万円貸して、てあんな自然に言えたらなあ。

残りは魚喃先生フリークのたわごとです。
自分は魚喃先生の構図にめちゃくちゃ影響を受けているので、映画にもそういう見せ方があればよかったかなと思う。もし自分が監督なら、極力パンや手持ちは使わないな。タイムラプスとかも絶対使わないだろうと思う。あと風景のインサートをもっと増やす。東京の雰囲気を、空気感をもっと出したい……

あとは最後の歌、自分がもし演出するなら歌い出す直前で終わる(歌わずに終わる)けど、太賀さんの歌、めちゃ良かったから、原作とはまた違った後味の良さがあったので、終わりよければ全て良しです!!!
いい歌だなーと思ったら、やくしまるえつこの歌なんだな。納得。

いろいろ書いたけど、原作ほど負の感情をえぐられない、ある意味あと味のいい映画だった。いろいろあったからこその、あの原作の終わり方も、希望の持てるいい終わりなんだけども。
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