オレオレ

ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男のオレオレのレビュー・感想・評価

3.0
G.オールドマンをウィンストン・チャーチルに仕立て上げたメイクアップがアカデミー賞を取りましたが、うーん、トレードマークの葉巻があっても、なかなかチャーチルには見えない・・・
とはいえ、ミソはそこではないので。

歴史好き、特に第二次大戦やイギリスの歴史好きには有名なんだと思われる、チャーチルの国会での演説2つが行われた、1940年の5月、6月が描かれている。
今となっては、英米が中心となって連合国がナチスドイツをやっつけた!って史実があるので、イギリス参戦当然、と思ってしまうが、実際のところ、ドイツとの融和も結構な現実性を伴って考えられてたんだよねー。
先の戦争からそれほど時間がたっておらず世間は戦争の辛苦を記憶している。アメリカも議会が参戦をいやがっており加勢してくれる見込みは薄い、かといってベルギーやオランダはあっさりドイツにやられてしまって今やフランスも青息吐息。そりゃーイギリス国内でも融和策は出るわな。唯一、大陸から海を隔てているという利点があるだけだし。

弱腰(まあこれも後知恵だが)チェンバレン首相はじめ、党内でも融和に傾いているが、チャーチルは果たして抗戦に世論や国会を導くことができるのか・・・
チャーチルがそれほどカリスマ性のある政治家として描かれておらず、むしろ、仕方なく担ぎ出された首相、苦悩する少数派、になっている。

リリー・ジェイムス扮する女性タイピストがチャーチルの演説原稿や往信類をタイプしているのだが、すべてがタイプライター!もしくは書き取り!今みたいにボイスレコーダーもないから、車の中に小さいタイプライターを持ち込んだり、風呂入ってるチャーチルの風呂場のドアの外で書き取り・・・。しかも、タイプライター、ワープロではないので、間違えたってバックキーで戻ってちょいちょいと直す、ってことはできないわ、紙は必ずいるわ、で大変だったろうなあ・・・。しかも、キーがうるさそう、笑(実際、あんたうるさいキー打つね、って言われてた)。

まあ、どうなるのかチャーチル!というハラハラドキドキはない映画なんだけど、当時の風俗とか、人間ぽいチャーチルとかは楽しめた。
最期の地下鉄はちょっとやり過ぎな気がするが・・・

それにしても、この時代の映画やTVドラマを見るといつも思うが、第二次大戦のころは、イギリスには国王がいたんだよなー。
あの白髪のおばあちゃんがあの宮殿にずーっとずーっとずーっといる気がして、イギリスの元首=女王、っていうのが大半の人に刷り込まれてるんじゃないだろうか。キ、キング?クイーンじゃなくて?っていつも思う、笑。