オレオレ

プリシラのオレオレのレビュー・感想・評価

プリシラ(2023年製作の映画)
3.5
何よりびっくりしたのが、エグゼクティブプロデューサーにプリシラ・プレスリー本人の名前があったこと。
ご存命であったか!!!
エルビスそのものに興味がないこと、娘のリサ・マリーと元婿のマイケル’ジャクソン、どっちも死んでる、プレスリーも死んでる(てか、ラスベガスにうじゃうじゃいるなりきりさんの印象の方が強い)ので、なんならプリシラ・プレスリーも亡くなっていると思っていた。なんとまだ80歳手前!

14歳でエルビスに見初められ、そのままメンフィスのグレースランドに暮らすようになるプリシラ。
まーこの14歳の中三時代が可愛くて、そりゃーキングも惚れる。とは思うものの、さすがに14歳と24歳じゃあなあ・・・
プリシラの両親との約束、高校だけは出させるというのを守るため、エルビスはプリシラにグレースランドから通学させる。どういう感じだろう。皇居から学習院に通うあの人たちみたいなもんかね?

当のエルビスは映画などに忙しく、プリシラはグレースランドに一人取り残される。もちろん、単独ではないが、やたら厳しいエルビスの父親の監視もあり、友達も家に呼ぶことは禁じられ、マネージャーやお手伝いさんやおばあちゃんなどの大人しかいない環境。
たまに帰ってくる恋人は、自分のことを好きだというが手も出さないで添い寝するだけ。
こういう孤独の描き方がソフィア・コッポラは上手いなあと思う。「マリー・アントワネット」でも「ロストイントランスレーション」でも隔離されたクイーンや「ガイジン」が主人公だったが、ここでも大スターと結婚しながらひとりきりだった女性が淡々と描かれる。
主役を演じたケイリー・スピーニー、撮影時は25歳でありながら14歳から30歳あたりまでのプリシラを自然に演じている。この年齢幅を演じられる俳優を探すのがキモだった、とソフィア・コッポラがインタビューで言っていたが、彼女は大当たりだったと思う。あと、長身ジェイコブ・エロルディのエルビスと小柄なプリシラのサイズの違いがよくて(最初の方に出てくる二人の手が映されるシーンとか、どんだけ手が小さい(大きい)!)、大きい男に巻かれていく小さい女の感じが出ていた(最後にするりと逃げ出すが)。

しかし、なんでエルビスはプリシラを見初めたんだろう。
西ドイツ軍隊生活とアーミー・ブラット(国内外の軍の基地を転々として育つ軍人の子供たち)の孤独が共鳴したから?
つってもエルビス、常にだれかに囲まれてパーティしてたしなあ。除隊後もあちこちで成人女性との浮名が立ってたから、ペドだったわけじゃないだろうし。
光源氏みたいに、自分で自分の理想の女性を作り出したかったのか?

プレスリー財団からオッケーが出ず、エルビスの曲が一切使われていないが、それが逆に良かったかも。主人公はあくまでプリシラとその孤独なので。
エルビスはいつもアントラージュと一緒だけど、彼らは有象無象扱い。エルビス、プリシラ、プリシラの両親とエルビスの父、祖母あたりにしか効果的なセリフがない演出や編集も効果的。
とそしてソフィア・コッポラ作品、当時のファッションや髪型も楽しめます。
あの当時の髪型は、もはや凶器レベル。あんな頭で空港のセキュリティとか通れないだろなあ、今じゃ。あそこにナイフとか隠せるもん!
なお、産院に行く前にツケマしたのは本当だそうです。在宅勤務時は化粧どころか一日中パジャマかヨガパンツで過ごす私には、同じ女とは思えん。向こうもそう思うだろうけど、(笑)。