有事にのみ存在感を発揮し、その活躍の舞台を用意される稀有な人間が世の中には時々いる。
人々を駆り立てるチャーチルのスピーチ、度胸、決断力、リーダーシップ…（ナチス宣伝省のゲッペルスでさえもが、「チャーチルは太っちょの皮肉屋だが、彼は有能だ」と言わしめた）。
当初、簡単に陥落と見越していたヒトラーは、イギリスの粘り腰（お家芸の諜報活動、軍の最新レーダーシステム、エニグマによる暗号解読などの情報戦で、ドイツ軍からの空爆と本土上陸の水際阻止に成功）に業を煮やし、先にソ連侵攻を優先させたこと。そしてこの作戦は冬に阻まれ長引いて、戦力は弱体化。併せて真珠湾攻撃を機にアメリカが参戦したことも相まって、以降の戦況がジリ貧に傾いて行った。
もしチャーチルにあの決断がなかったら、イギリスは言うに及ばず、ヨーロッパ、いや世界の地図は大きく塗り替えられていたのかも知れない。
今回、その歴史の重要な転換点を担った男の物語を観ることが出来、身が震える思いがした。
