子持ちのカイロレン

ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男の子持ちのカイロレンのレビュー・感想・評価

4.0
閉館直前のシネパレスで。ゲイリーオールドマンは勿論、ジョーライトの演出が抜群。滑舌の悪いチャーチルの語りをどう面白く伝えるか、画を殺さないあらゆる工夫が詰まっている。中でも秘書のリリージェームスの使い方が本当に上手い。まるで市川崑が金田一シリーズで試したような方法論。ただし、あまりにヒロイックに閉じてしまう物語にある種の危険性も感じた。簡単に今の日本と比較する輩には格好の餌。案の定、ネットにはバカみたいな記事がチラホラ。ちなみにあの人の愛読書はチャーチルの自伝で、実際この映画観てるけど、この映画と今の状況の違いを客観的に分析する感性は持ち合わせてないだろうから、間違いなくチャーチルに自分を重ね、玉砕思想に酔って感涙したはず。物語上しょうがないけど、この映画にはそういう狂熱を冷めさせる仕掛けが最後までないのがどうしても引っ掛かった。