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5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生のhirogonのレビュー・感想・評価

3.7
目の障害により視力が通常の5パーセントに低下した青年サリヤ(コスティア・ウルマン)が、ホテルマンを目指す実話に基づく話。

う~ん、夢を諦めない気持ちとその努力は素晴らしいのですが…。

とても優秀で努力を惜しまない姿勢は、その人を理解できた後であれば、「何とか、その能力と努力を活かしてあげたい」と思えるような人材です。
でも”目が悪いことを隠して”って、ところがどうしても引っかかる。
何故なら、事故に繋がる可能性があるから。
”5パーセント”という数字が、目の見え方の程度を表しています。
映画の中でも実際の見え方のイメージが再現されているのですが、近づいてようやくおぼろげに形が分かる程度。
あの見え方って、かなり怖いレベルです。

実際、映画の中でも小さな事故は何度も起こっていて、一歩間違うと大事故になりかねない。
それは、自分だけでは済まずに、周りにまで迷惑がかかる可能性があります。
付き合っていたシングルマザーの彼女、ラウラ(アンナ・マリア・ミューエ)の息子の子守を依頼される場面では、子供を見失ってパニック状態になります。結果的に見つかるのですが、サリヤの目が悪いことを聞かされたラウラは怒ります。もし子供が事故にでも遭っていたら、、、と考えると怒るのも仕様がない。

目が悪いことがバレると門前払いになるというのも分かるのですが、そこも熱意と努力でカバーすべきでは?と思ってしまいます。
目が悪いことも理解してもらった上で、協力してもらいながら頑張れる環境を地道に作っていく部分にも努力を割いて欲しかった。
確かに、そんなに簡単に受け入れては貰えないと思うし、理想論と言われればそうなのですが…。

何だかんだ言っても、母や姉、研修仲間のマックス(ヤコブ・マッチェンツ)を始めとして、皿洗いのおっちゃん、調理の研修を指導する責任者、など目が悪いことを知った上で助けてくれた人達がいなければ、研修を全うすることはできなかった。

”人も社会も捨てたものではない”、”自分の弱みはさらけ出してその上で協力を仰ぐことも大事”、そんなことも感じました。

P.S.)それにしても、家族放り出して逃げたサリヤの父親は人でなし!
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