このレビューはネタバレを含みます
「少年の君」のデレクツァン監督のデビュー作。あれほどのインパクトはないものの、現実と小説の境界が意外と曖昧なので、もう一度見ると気づくことがあるのかも。
愛情と憎しみを孕む親友2人の人生を、小説と現実を交錯させて辿っていき、カットバックで意外な真相が明らかになるところは、上質なサスペンスのようでかなり好み。
また、変節していく互いの感情の動きを、抑えた雰囲気で包み込んだ、音と映像の美しさも出色。
親友が望んでも果たせなかった人生を、小説にして叶えさせるという心情は、これまでの経緯を思うと後からジワっと沁みてきます。
決意や想いが込められたラスト1行の締め方も綺麗。