銀幕短評 (#204)
「ファースト・マン」
2018年、アメリカ。 2時間 21分、公開中。
総合評価 100点。
どこまでも美しく どこまでもせつない。
邦題と同じく 原題も “First Man” であり、ありがちな定冠詞 The が頭につかない。英語(とくに冠詞の使い分け)にはうといが、そこにはある意図が読み取れる。つたない私見を書くと、
定冠詞 the をつけると、“(例の)や(偉大な業績を成し遂げた)初めての男 ” 、というような意味合いを言外に含蓄するが、無冠詞にすると、“いろいろな分野や難易度のあるなかで ひとまず初めて何かを手中に収めた男たちおおぜい” のうちの ひとり、という意味になる。
つまり、彼は “初めての男” のひとりではあったのだが、その初めての行為は (たまたま)月に足を踏み入れることだった、という意味合いをもつこととなる。世の各分野のファーストマンに敬意を払いつつも、彼ら自身の偉業を謙虚に表すとともに、反語的に矜恃(きょうじ)も示す。という語感がうかがえる、という気がする、かも。
涙なくして観られませんでした。