「ファースト・マン」
まだ34歳のD・チャゼル監督の最新作。
2014年に「セッション」、2016年に「ラ・ラ・ランド」、2018年に本作って、すごすぎませんか?
「セッション」、「ラ・ラ・ランド」はラストの力技にやられてしまい、特に「ラ・ラ・ランド」は音楽も最高なのもあって、オールタイムベストの1作になりました。
本作は、「ラ・ラ・ランド」とは打って変わって色彩も抑えめで丹精な映画なんですが、もう巨匠の風格が備わってるのがすごいです。
チャゼル監督の特徴の、「何かに熱中すると周りが暗くなって人物だけにライトがあたる」という演出が、本作では部屋にこもって宇宙工学の勉強をしているときと、コックピット内のシーンで用いられてます。前2作とよくよく考えれば共通している「何かに異常に熱中している人物が主人公」という点も含め、チャゼル監督らしさが巧みに織り込まれています。
中盤のジェミニ8号のシーンが、本当に息が苦しくなるような映像で、ガタガタ揺れたり、警報音でかなりしんどかったです。本当に怖かった。
アームストロング家の悲劇をさらっと描いたり、ラストに「ラ・ラ・ランド」に続き、ホームビデオ風の映像を用いて、涙腺を刺激するストーリー構成や映像も見事でした。
そして、もちろんキャスト陣の演技も見事でした。
ライアン・ゴズリングは相変わらず哀しい男が似合うし、芯の強い奥さんを演じたクレア・フォイ、「ザ・リーダー」が似合う、カイル・チャンドラー、軽薄な感じがたまらないコリー・ストール、やさしさがにじみ出るジェイソン・クラークなど適材適所という感じでした。
全然ヒットしなかったそうですが、ほんとに1級品のいい映画を観れたという喜びが大きい、大好きな1作になりました。