るる

サラブレッドのるるのネタバレレビュー・内容・結末

サラブレッド(2017年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

馬!?と思ったけど、タイトルがサラブレッドだった。

二人の少女の凶暴性を現代的にどう描くのかなと、全然期待せず借りたのでどうかなと。いがみあう二人だと嫌だなと思ったんだけど、シスターフッドに溢れてて良かった、二人並んだ様子は全部かわいい。継父への不満がやや弱い気がしたけど、なにか決定的なことが起こるまえ、そのまえに行動を起こさなくちゃ、という焦燥感が高まるにつれ良かったな。

無邪気で残酷な少女たち、災いもたらす悪童たちの伝統を踏襲しつつ、いわゆる悟り世代っぽい、諦観があって、リアルで良かった。新自由主義っぽいよな、凄まじいまでのエゴの発露でしかない行動に、冷静で賢明に見えて稚拙な理屈が伴う。子供らしくない子供たち。イマっぽい。

アントン・イェルチェンは魅力的…このままキャリアを積んでたら振れ幅のある役者さんとして活躍したろうに…本当に残念。

ジョブスかぶれの我が道を行く女の子が実業家気取りの中途半端な売人の男の子と出会ってクールダウンしていくさま、リアルで良かった。豪邸の装飾に目の色を変えるティム、良い。取り繕うことを知らない若者だ。

アマンダはティムのような半端な口だけの人間になりたくなかったから冷酷に冷徹に極端な方向に先鋭化したんだろうなと察せて良かったし、彼女はテイムとアマンダを同類とみなしたんだろうなと思う、でもアマンダに薬を盛った時点で本当に記憶に作用するかどうかまではわからなかったはずで、ソファに血塗れで寄り添ったとき、利用するつもりはあったのかな、それとも記憶喪失はアマンダの演技なのかな、サラブレッドを殺したアマンダに脅かされるまえに、ということなのかそれとも記憶を取り戻すかもしれないアマンダに脅かされ続けるのか。

お前と違い俺には人生がある、あるの? この温度感。

同年代と話すのが怖いから子供相手に商売するし子供と恋に落ちてセックスする、喝破、そしてちゃんと前科がつく、たぶんべつに小児性愛者ってわけじゃない、ただもう這い上がり方がわからない、ありうるわな。。最後に職についてて良かったな。

アマンダ役のオリヴィア・クックがとにかく良かった。繊細な演技と底知れなさ。

ただ、映画としては全然好みじゃない。温度が低すぎて。俳優たちが良いし、B級っぽい演出のほうが魅力が出た気もする。
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