NEWおっさん

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書のNEWおっさんのレビュー・感想・評価

3.5
「報道の自由を勝ち取るのは誰か」

ついこの間エンタメに振り切った傑作「レディ・プレイヤー1」を撮ったスピルバーグ監督が、今回はある意味真逆の硬派な作品をぶち込んでくるのは恐れ入る。

実話ベースのドラマだが、新聞社が弾圧に負けることなく世の闇を世間に晒すという展開は、「スポットライト」に近い。あちらはカトリック教会だったが、こっちの敵は政府とあの悪名高きニクソン大統領。掲載されるまでのワシントン・ポストの面々の葛藤、地味になりそうな題材をベテランスピルバーグの職人芸によって緊張感があり、のめり込めるデキになっているのは流石。

この作品自体、今の世だからこそ作ったんだろうなあ。スピルバーグ本人が「今、撮るべき作品」として、トランプ就任45日後に製作を発表し、先に予定していた作品を前倒しして撮影を敢行したというエピソードがあり、この映画と今のトランプ政権に重なるトコがあったからこそのコトだろうと思う。

難点は全体像を掴むまで時間がかかるというコト。似たような風貌した人達も多いし、ベトナム戦争関連に対する知識が無いと前半とかついて行くのに必死になる。会話劇が中心なので派手さを求める人にも不向き。自分はこういう闇に立ち向かう展開や会話劇が好みなので楽しめたが、それでも序盤はちょっとついて行けなかったよ。

あと、ワシントン・ポストにフィーチャーした映画だから仕方ないんだが、一番の功労者は実際にペンタゴンペーパーズを地道にコピーしていった冒頭のエルズバーグとかいうアナリストであり、そこの活躍が本当に最小限しか無かったのも残念。

とかまあ色々言いましたが、「スポットライト」が面白かったならこれも文句なしに楽しめるかと。オススメ。

—————ここからネタバレ—————




















ラストがワケ分かんなかったけど、あれかの有名な「ウォーター・ゲート事件」だって。その事件もワシントン・ポストがスクープしたので入れたのか。なんか急に不穏な感じになったので誰か死んだのかと思ったよ。