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地獄愛の708のネタバレレビュー・内容・結末

地獄愛(2014年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

1940年代に20人の女性を殺害して、死刑になった実在の殺人鬼カップルをモデルにした作品。「変態村」のファブリス・ドゥ・ヴェルツ監督による「ベルギーの闇3部作」の第2弾だそうです。第1弾はもちろん「変態村」です。

シングルマザーのグロリア。出会い系サイトで知り合ったミシェルという男性と付き合うものの、実はミシェルは寂しい女性から金を巻き上げる結婚詐欺師。ミシェルの正体を知ってもグロリアは彼のことを愛して、ふたりは兄妹と偽り共謀して、女性を騙して結婚詐欺を繰り返すようになります。

ミシェルとグロリアの被害に遭った女性たち、マルグリット、ガブリエラ、ソランジュすべてに言えるのは、騙している途中でグロリアのメンヘラな部分が刺激されて嫉妬心が大爆発して、我慢できなくてグロリアが殺す、もしくはミシェルに殺させるというお決まりの展開なんです。殺すという行為自体よりも、そこに至るまでのグロリアが嫉妬で狂う姿を見るのがしんどいです。狂気の領域に足を踏み入れたような独占欲。「愛のコリーダ」の阿部定に近いものを感じました。

ミシェルは女性を騙して金を巻き上げるプロセスの途中、肉体関係も持ちたいという欲求が丸出し。肉体関係を持っていると、すぐにグロリアに見つかってしまうもんだから、挙げ句の果てには睡眠薬入りの紅茶でグロリアを眠らせて、その隙にターゲットとセックスしちゃうというね。グロリアはミシェルにとって、ターゲットのひとりだったはずなのに、なぜここまで相棒のような扱いで道連れにして、計画が頓挫しても許せちゃうんだろうか…というのが素朴な疑問。

ミシェル役の俳優さんは、「変態村」でおじさんたちにレイプされてたマルク役だったあのお方。ソランジュ役のエレーナ・ノゲラはベルギーのLIOという歌手の妹。エレーナも歌手をやっているんですが、かつて日本デビューしたときのCDのライナーノーツ(解説)を執筆させてもらいました。そういや、日本公演のライヴでお会いしたこともありました。エレーナだと知らずにこの作品を観てて、観終わってから気づいてビックリ。
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