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アネットのstのレビュー・感想・評価

アネット(2021年製作の映画)
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『ホーリー・モーターズ』同様の私小説的な自己言及に始まる。スパークスらとともに行進する登場人物。カラックスらしい(というより『ホーリー・モーターズ』らしい)メタ的で実験的な導入部。物語は、”観客”側から見るコメディ/オペラ/ミュージカルから、”演者(=ダメな父)”としての娘との私的対話へと収斂していく。例えば、ヘンリーのスタンダップコメディが1回目(LA ?)は観客からの視点、2回目(ラスベガス)は演者からの視点によって捉え直されるように。娘は、父によって操られる”人形=傀儡=道具”から、やがて自らの意思(=言葉)を持ち”実体”化する。子の自立と毒親の退行。#MeToo運動や子役搾取問題をも思わせる社会性あるストーリーは、「ナスティアに捧ぐ」の言葉通り、カラックスが娘に宛てて書いた”社会”の1つの捉え方なのかもしれない。
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