[あらすじ]
ヨットで名を馳せ、奨学金を得て大学を控えたチャーリーは、高校の卒業式の夜、弟サムを乗せた車を運転中に追突事故に巻き込まれる。チャーリーは救命士フロリオの尽力もあって一命を取り留めるが、弟サムは帰らぬ人となる。
サムの葬式の最中に、サムの亡霊を見つけ、
”毎日日没の大砲の合図とともにキャッチボールをする”
というサムとの約束を果たすべく、大学進学を断念し、墓地で一人住み込みで働くことをに・・・。
それから、5年が過ぎ、チャーリーは周囲から奇異な目で見られつつも弟サムとの“約束”を日課としながら、相変わらず墓地管理の仕事を続けていた。
そんな中、末期がんに冒された救命士・フロリオとヨットで単独世界一周を目指すかつてのライバルであったテスと再会する。
[感想]
解説のあらすじなどでは、チャーリー(ザック・エフロン)が墓地で働く理由が、事故死についての自責の念としているが、よくよく観ると、そうではない。
運転中の事故はあくまでも飲酒運転による追突事故であり、夜連れ出したのはチャーリーであるものの、そのことでチャーリーが母親から責められているわけでもないので、自責の念とするのには弱すぎてしまう。
むしろ単純に弟への深い愛情だけと読み取れる。
また、見えてしまうのが弟の霊だけでないのは、後のストーリーの核心につながるので放棄できない部分なのだが、霊が見える、というのは弟のものだけでなくなった時点で、チャーリーに超能力者的な位置づけを明確にすれば、先の墓地で働く理由も正当化できる。
ファンタジー・ヒューマンドラマ(ラブストーリー)の混合作品であるということを明確にしてしまうと、『ゴースト』『黄泉がえり』並の完成度がないと厳しいのはわかるが、中途半端なのはよくない。
スポーツで奨学金を取るスーパーイケメン高校生役といえば、30年前はトム・クルーズが担っていたが、今はザック・エフロンだろうか。
今のところ、日本に輸入されてきている彼が主演のハリウッド作品は『ハイスクール・ミュージカル』を筆頭にそうしたザ・アメリカン・ヒーローの役回りばかりだ。本作の導入でも、多分に漏れていないものの、映画の主軸は5年後ということもあり、どうみても20代を思わせる風貌は、これまでの役回りの事実上の引退作を予感させた。
どんな役で脱皮を図るのだろうか?岡田将生の『告白』くらい強烈なのを期待したい。
(2011年1月5日)