アキ

ザ・フォーリナー/復讐者のアキのレビュー・感想・評価

ザ・フォーリナー/復讐者(2017年製作の映画)
3.0
ん?ちょっとズレがひどくないか?
娘をテロで殺され復讐に立ち上がったジャッキーではあるのだが、その向かう先が○だというのが腑に落ちず、ジャッキーの思惑としては○にダメージを与え、困惑させることで○からテロ遂行犯の居場所を引き出そうとするのだけど、その論拠が○がかつて○に所属していたからだという事実のみで、ほんとに○が情報を持っているのか否かの事実確認がいまいちあやふやだからジャッキーの行為にとてつもない違和を覚えたままの進行を余儀なくされる。しかしジャッキーの○への執着はとどまることを知らず、挙句は○の屋敷界隈の森で陣を張って、業を煮やした○の繰り出す傭兵と闘争を始めたりなんかする。悲惨なのはその闘争ってのがおおむねランボー1的なニュアンスで、大真面目に罠なんか仕掛けたりする一方で、前述の違和があるから、ジャッキーが終始悲壮な顔つきで敵さんとやりあえばやりあうほど大安売りのコント感が誘発されてしまう。正直、○とやりあってる暇あるなら己の足で情報稼いで娘殺した犯人見つけろよと思ってしまうのだが。
またそうあるべきだったのは、カタルシスが全く機能しなくなってる問題がある。このカタルシスについては元来この手の復讐譚では当然に具備すべき必須の要素ではあるのだが、此作においてはジャッキーのトンチンカンな行動と、本来描くべきだったテロ実行犯の造形の甘さがゆえ、実行犯に天誅を下してる最中も下したあとも何ら副次的な効果が発生していない。これは進行とともに薄らいだジャッキーに寄せる共感と此作への信頼の欠如でもあり、それらをなしえなかったのは一言でいうと監督が全くのヘタクソであったということだ。

小出しにされるクリティカルな情報も幾分まとめきれていない印象で、価値は乏しく、単に驚かせるためだけにぶっこんできた安っぽさが前面に踊る。情報はきちっと整理したうえ、あるべき時にあるべき場所にはめないと単なるゴミくずになっちゃう点はしっかりと肝に銘じておくべきではなかろうか。
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