矢嶋

はじまりの街の矢嶋のレビュー・感想・評価

はじまりの街(2016年製作の映画)
3.6
良くも悪くも地味で静かな作品。

ストーリーはシンプルで、新生活を始めたけど町に馴染めず居場所がないというだけ。起こる出来事もリアルで起こり得る範疇のことのみだ。それだけに、劇中で起こる苦悩が想像でき、感情移入しやすい。

トリノの街並みは美しく、ただ歩いているだけでも絵になる。一方で、状況が悪くなるとそれに呼応して治安の悪さやゴミの多さといった負の面を描写し、一見綺麗で好きになれそうでも決してそう単純ではないと視覚的に示す。また、劇伴もセンスが良く、要所要所でしっとりとしたピアノの旋律に浸れる。

静かな作風がいいだけに、ラリッサが客と寝ているシーンは音楽を含めちょっと演出過剰に思えたな。そもそも、彼女に興味を抱いたきっかけが掴めなかった。単純にエロいねーちゃんいるから気になっただけなのか?

色々な意味で地味だが、静かに人情味を感じられる雰囲気や、色々苦労したけど少しずつ状況は良くなっていく…という終わり方は結構好き。
矢嶋

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