MASH

しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイスのMASHのレビュー・感想・評価

4.5
イーサン・ホークとサリー・ホーキンスの演技があってこその映画。この映画での彼らの演技は本当に素晴らしい。彼らがこの映画でなんの映画賞にもノミネートされていないのが不思議なくらいだ。

物語自体は彼らのバックグラウンドはほとんど描いておらず、彼らが出会ってからのことを描いている。普通だったらもっと彼らのバックグラウンドは必要だと思うのだが、この二人の演技力はそれらのバックグラウンドを補うほどの演技なのだ。彼らの過去は彼ら自身の口からポツポツとは語られるが、実際に映像としては描かれない。だが、彼らの無言の演技がそれらのことさえも語っている。彼らでなければそこそこいい映画で終わってしまっていただろう。

また、映像と音楽もこの映画の持つ優しさを引き立てている。カナダの田舎の美しい映像はまさに彼らの人生を表しているようだ。音楽もまた優しい音色であり、特に最後の歌では思わず涙を流してしまった。

この映画は単なるロマンスなどという言葉では語れない。もっと根本的な"愛する"ということを語っているのだ。互いの人生に他人が入り込むということは人生において大きな意味を持つ。それは単に幸せだけではなく、苦労も増えることになるだろう。でも、年月を重ねることにより二つだった人生が一つの人生になり、お互いがいることが当たり前でありながら幸せである人生となる。それこそが"愛する"ということなのではないだろうか。この映画はそんなことを教えてくれる。
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