くろねこヤマ子

しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイスのくろねこヤマ子のレビュー・感想・評価

4.1
幾度も映し出される
同じアングルの
家路へと歩くシルエット。

その距離や歩き方で
ふたりの心情を写し出す。
縮まってゆく時、
気持ちが重ならない時、
シルエットが語る。

障害を持ち、
身内に無下に扱われるひとりの女性が、
心の拠りどころの絵と
夫の愛に支えられて、
幸せな居場所を見つける物語。

キャスティングの良さ。

イーサン・ホークの
独特な荒々しさや肉付き、
奥まった眼から
時折見せる優しい眼差し。

サリーホーキンスの
シワっぽい可愛さ、
片足を引き摺りながらも
少女のように振る舞う様。

そこにカナダの片田舎の
可愛らしい風景と
モードが描く可愛らしい絵画が
わざとらしくなく調和して、

じんわりとした優しさが
画面から滲み出るような。

押しの強くない
ハートウォーミングLoveストーリー。
ふたりのしっかりとした演技力に
支えられた良作でした。