龍じん

シェイプ・オブ・ウォーターの龍じんのレビュー・感想・評価

4.0
封切初日レイトショーにて鑑賞。

デル・トロ節ここに極まれりの大人のためのダークファンタジー。『ダークフェアリー』より舞台劇的で明るく、『パンズラビリンス』よりはラブファンタジー寄り。あくまで「寄り」であって、やっぱりデル・トロ作品は仄暗く美しく悲しく残酷だ。

『クリムゾン・ピーク』の「赤」と対照的に今作は「青」の色彩美。街並や研究施設、主人公イライザの部屋の小物に至るまでデル・トロの病的なこだわりも画面から観てとれて楽しい。『クロノス』の吸血機械のディテールを見た時から感じていたが、彼の画面作りは小道具が重要な役割を果たしていますね。

国家機密にしてはセキュリティがザル・旧ソの諜報機関との攻防がユルいだとかツッコミどころは多々あるが、リアルに過ぎるとファンタジー要素が薄まりそうなので童話として解釈すればコレはコレで良いのかな。一方イライザと不思議な生き物(公式名称?)の邂逅から仲を深めていく過程の描写が希薄で、種族を超えた愛情というメインテーマは盛り上がりに欠けるような気が。

まさに童話の様なラストと読後感。人外の存在を美しく描かせたら右に出る者無しデル・トロの世界観を満喫したい人には特にお薦めしたい一本。
龍じん

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