奈菜子

シェイプ・オブ・ウォーターの奈菜子のレビュー・感想・評価

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究極に美しいエンディング
洗練と美学で貫かれたビジュアル
この映画が冷戦下のアメリカを舞台にしていると知りながらもどこかファンタジー映画を観たような心地がしています
アメリカが冷たい戦争の最中にいることなど、ヒロインであるイライザの世界にはなんら影響を及ぼし得ない
人生の哀しみを知る優しき隣人と同僚、夜間勤務、通勤のバス窓越しに聞く雨音と古き良き映画たち、それが彼女の日常
瞳にたたえるものがなんであれ、彼女の表情はいきいきとして美しく、言葉を語れずとも愛をかたれる人でした
彼女とは正反対に、アメリカがかつて見ていたであろう「夢」の内実を体現するかのような「悪役」の存在
郊外の邸宅には美しき金髪の白人妻
(ねえ、手を洗ったら2階へ来てくださる・・・?)
娘と息子が一人ずつ
キャデラックは彼の社会的成功を象徴し
何も守りえない肉体の屈強さは他者を威嚇し続ける
そして内面の未成熟とそれに気づかない醜さは
彼の喰いちぎられた2本の手指とともに
この映画の欠かしがたい要素としてのバイオレンスとグロティシズムをもたらしていたけれど
まるでミュージカル映画のヒロインのように恋をするイライザが生きる世界と彼の生きる世界との間には深い断絶があるように思えました

至上の愛に出会って、夜と雨ばかりめぐってくる彼女の世界でカチューシャが、靴が、唇が紅く色づいていく様はなんとも美しかったです
究極に美しいハッピーエンドで締めくくられる大人のおとぎ話でした