RiN

シェイプ・オブ・ウォーターのRiNのレビュー・感想・評価

4.6
『言葉はいらない』

おひさしぶりです。

待ち望んでいたラブストーリー、やっぱり良かったです。
聾唖の女性と、水の中で生きる男は、たぶん運命の相手というやつだったのでしょう。

聾唖の女性は、悪くないルックスをしています。
というか、家事だってそこそこできて勤勉なことを考えれば、彼女が独身でいることの方が違和感。
オラオラしてるあのひとに、静かなところがいいと言い寄られていたけれど、たぶんそんな理由で彼女を見初める男性がこれまでにいなかったことのほうが想像しづらいのではないでしょうか?
(まあ結婚というと、聾唖の血を引いた子供を作るのが怖い、という理由もあったのかもしれないし、身内に売れない画家で独身の老人がおり、二人暮らしなことから色々ゲスな勘ぐりを受けたのかもしれない、考えたくないけれど。)

そんな彼女が出会うのは、人間の常識とは全く別の場所で生きていたはずの、魚人の彼。
魚人というのはもちろん便宜上の名前で、彼が何者なのか、結局のところの結論は出ませんでした。
水中で生きる彼は、愚かな人間の策略によって捉えられてしまい、過酷な環境で生きていました。

そんな彼と、掃除婦として偶然出会った彼女は、一目で恋に落ちます。
お互いに少しずつ、好きなものを交換していくふたり。
見た目が少し奇妙なこと、会話は交わされないことを除けば、それはごくごく普通の恋の形でした。
そんなふたり、しかしやはり普通とは違う見た目や人間の勝手な理屈や策略で、いくつもの壁にぶち当たります。

降りかかる災難の中、愛を交わしていくふたりの美しいことといったらもう…!
R-18指定ということで、デルトロ監督お得意の「えっここで?」というセクシーなシーンもあるわけですが、そんな違和感も吹き飛ばすくらいふたりが美しい。
ひとりであったときも、もちろんふたりとも美しかったんですが、ふたり揃ったときのあの、内側から発光するかのような美しさといったらありません。

そして、映画を通じて問われる、人間とは?というクエスチョン。
その答えは、デルトロ監督はやはりロマンティスト!という結論に終結します。
映画の中で3回くらい涙腺がやられました、久しぶりに席を立つときに自分の目元が心配になった。
オペラのマスカラは優秀でした。

そして、わたしはやっぱりゼルダ(オクタヴィア・スペンサー)が大好き。
下品なハンドサインも大好き。
RiN

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