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ライオン・キングのsomaddesignのレビュー・感想・評価

ライオン・キング(2019年製作の映画)
5.0
思った以上にライオンキング🦁

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映画会社の言う「フルCGで実写化」て宣伝文句にいつも違和感を感じるのは自分だけでしょうか。今作だと宣伝当初こそ「実写化!」て謳ってたけど、気がついたら「実写を超えた超実写!」になってた。実際のライオンがあんなにフレンドリーだと思って、うっかりサファリパークで車外に降りて仲良くなろうとする人がいるのかもしれない。

94年のアニメ版を見たことある人なら、思った以上にあの「ライオンキング」そのままで拍子抜け。
もともとベタな貴種流離譚。本来ならば王位につくはずの王子が、不遇の環境に落ち、試練を経て成長し王位を取り戻す話の典型。アニメ版でも思ったけど、シンバが放逐される原因が陰謀とはいえシンバが浅慮すぎてムファサが可愛そうなのと、不遇の環境に堕ちたハズなのにジャングルで友達と楽しく暮らしてるだけで全然受難してない。
道楽息子が都会で貧乏だけど気ままに楽しく暮らしてたら、実家がピンチらしいんで帰って家継ぐ話に見えちゃう。(アニメ版よりは幾分アップデートしてて、自分が何者で何と向き合わなきゃいけないか気づく話になってるけども)

アニメ版から微妙に現代的にアップデートしてるけど、それがもう本当に微妙な差すぎる。ブチハイエナが相変わらず賎民扱いで悲しい。実際は賢くて狩り上手なカッコイイ生き物だし、草食動物を食べることは残酷でも虫ならカジュアルに殺して食ってオッケー!なルールなんなのか。「バグズ・ライフ」の立場よ!

なんかこう、やってることは思いっきり弱肉強食なんだけど「サークル・オブ・ライフ」て、自然生態系のバランスの妙・自然美に置き換えられちゃう欺瞞。(だからこそスカー達みたいにバランスを崩して、利己的に自然を食い尽くしてしまうと世界が枯れるって物語でもあるんだけど)リアリティを追求する分、嘘が際立って見えちゃう。

よく考えたら、言葉が通じて理性もある相手が自分を食おうとしてくるって、ゾンビ映画より怖い話だ。いつか「ライオンキング」のガゼルやヌーの家族視点でプライド・ランドの暮らしを描いたスピンオフが見てみたい。

ムファサの声は94年アニメ版に引き続きジェームズ・アール・ジョーンズ。シンバの声を担当したのはドナルド・グローバー。ジェームズ・アール・ジョーンズの声といえばダース・ベイダーの声を担当したのも有名で、一方のドナルド・グローバーは「ハン・ソロ」のランド役が記憶に新しい。つまりSW脳で見るとダース・ベイダーの息子がルークじゃなくてランドでしたっていう隠し子騒動にも思えて愉快。

『超実写版』の何が楽しいって、全年齢に向けて強力に無毒化されて、映像的リアリティを追求しながらファンタジックなことかしら。具体的には、雄ライオンを後ろから見たら必ず見える、あの愛らしい金○がなくて去勢されちゃってたり、骨肉の争いをしてても一滴の血も流れない。スカーもハイエナ達も甘噛みしてたんだね。
見た目は超リアルに動物なのに人の声で喋ってて、歌って踊ることについてどう受け止めていいか分からない🤧
ビックルするくらいアニメ版に忠実に作られていて、映画の目的が古典のリブートってより最新鋭の技術でアニメを写実世界に忠実に置き換える方向に移行しちゃった感じ。


80本目
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