NAOKI

ボヘミアン・ラプソディのNAOKIのネタバレレビュー・内容・結末

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

高校生の息子からこの「ボヘミアン・ラプソディ」の感想を問われ…「未だ観てない」と言うと…

「父上ともあろう者が評判の高いこの映画をなぜに未だ観てないとは?」
「息子よ…クイーンは敵…だからじゃ」
「敵?…」

…とか遊んでる場合ではなく…息子のリクエストで行ってきましたよ。やはりこういう映画は音が命…IMAXで!

おれがなぜこの評判の映画を未だ観てなかったか?それは冒頭の冗談はまんざら嘘でもない…

中学生くらいからはまって洋楽を聴き始めました…最初先輩たちから教えられるビートルズをはじめとする偉大なロックの先駆者たち…ストーンズ…ツェッペリン…キッス…ピンク・フロイド…そしてクイーン…
世界的に成功しているバンドたちだ…いいに決まってる…しかしロックは初期衝動が全て…「先輩のお勧めのロックを聴く」行為…これは最もロックではない行為に思えてしまって…

これがロックか?流麗なギターソロなどビバルディのバイオリンみたいじゃないか!と思っているところへイギリスからパンク・ムーブメントが巻き起こった…
ギターソロもテクニックもくそもない!ただ初期衝動のみの破壊的なロック!
おれはセックス・ピストルズやクラッシュ…ストラングラーズ…夢中になりました。

だから青春時代のおれにとってオールドウェイブのクイーンは商業ロックの権化そのものであり「敵」だったのです。

今考えれはくだらない心の狭いポリシーではあるのですが当時はそれが楽しかったのです。

そんなおれがクイーンの音楽に涙することになるとはね…

これは「伝記映画」ですが真実のままというわけではありません。クイーンのフレディ・マーキュリーの生涯を「ベースにした」音楽映画なのです。

この映画をけなしている人の論点はそこでしょう…都合の悪いことはオフにして都合のいいことだけを都合がいいように並べてるだけ…というわけだ。確かにその通りなんだけど…伝記映画や実話映画のほとんどはこんなもんです。ドキュメンタリー映画でさえそういう風に作られていたりします。
面白ければいいんです。
所詮…映画なんて「見てきたような嘘をつき」それが巧みなやつが勝つ世界なのです。

つまり皮肉なことに本当にクイーンのファンほどこの映画を許せないという人が多いでしょう。

伝記映画としてどうか?という点は置いといて「エンタメ映画」としてはどうか?
決して上手いとは思えない部分も多いのです。都合のいいエピソードばかりつまんでいるのでご都合主義に見えてしまうし、他のメンバー(それにしても激似)がやや浅い描き方になってしまっているのも否めません。

じゃあ…なぜこんなに評価が高く…クライマックスのライブでおれは涙してしまったのか?

これは「ロッキー」だからです!

「ロッキー」のクライマックスのアポロとの試合…
確かに倒れても倒れても立ち上がってくる無名ボクサーは感動的だけど…なぜあれほど泣けたのか?
それはロッキーがどんな男で何を考えどんな気持ちであの試合に望んだかをそれまでストーリーで見せられているからです…
全てはあの最後の試合に集束するストーリーだったから勝敗の行方などどうでもよく恋人の名前を連呼するスタローンにおれは号泣したのです。

この映画はまさにこれと同じ…

実際のライブ・エイドでクイーンがそのパフォーマンスで観衆を魅了したのは事実…

この映画ではクイーンという伝説のバンドの誕生から全てのエピソードがラストのそのライブに集束するように作られているのです。
そりゃ泣きますよ💦
しかも楽曲はみんながどこかで耳にしている歴史的名曲の数々…

おれは一番好きなクイーンの曲はデビュー曲の「炎のロックンロール」…この映画ではフレディが初めてバンドに参加したライブで歌う曲です。
有名なその後の曲にそれほど思い入れはないのですが…やはりどの曲も体に染み込んでいるのを感じました…
最後のライブシーン…特に熱狂する観客たちを見た瞬間…おれはやはり涙を止めることが出来なかったのです…

伝記映画としてはどうかと思うが音楽映画の「ロッキー」として誰もが楽しめるエポックメイキングな作品だと思います。

あの頃…フレディがどれだけ苦しみ…どれだけ孤独だったのかこれっぽっちも考えなかったな💦
NAOKI

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