じゅーけん

検察側の罪人のじゅーけんのレビュー・感想・評価

検察側の罪人(2018年製作の映画)
3.0
ミステリーやサスペンス、推理物が好きな私は期待度高めで鑑賞しました。
タイトルや予告編から想像していた内容や展開とは少し違ったなぁというのが率直な感想。


法律家を題材にした作品というと、以前は、極刑になりそうな冤罪被害者やワケありの被疑者を救う弁護士を正義の味方として描いた物が当たり前だったが、最近は『HERO』や『99.9』などに代表されるように、事件の闇に光を当て真実を追求する検事の正義を描くことも多くなっています。

タイトルを踏まえ予告編を見たとき、罪を犯した者を罪人とするなら、実際に犯罪を犯した者はもちろんだが、犯罪者を追い詰められなかった者がいたとすれば、取り逃がした責任は検事としての罪になるのではないだろうか。

そういうニュアンスを想像し思い描いたストーリーは、作品後半になりどんどんズレてきました。

登場人物の背景や設定、物語の展開は嫌いじゃないです。
しかし、想像とのギャップが大きくなるにつれ、納得しがたかったり腑に落ちないことが多く感じられ、モヤモヤ状態に陥りました。

最終的には、事件自体は単純なのに、無理矢理ややこしくしている感じがして、そのせいで強引なストーリー展開にしているようにすら感じました。

さらには、事情聴取や捜査会議、取り調べに立ち合うことがすごく多く、これって「検事」じゃなく「刑事」じゃないの?
検事ってただ一つの事件にここまで長時間関われるの?もっと数多くの案件を抱えてないのかな?とどうでもいい疑問まで感じてしまいました。

過去の事件や背景、登場人物のしがらみ等が伏線として複雑に絡み合い、それでいて一つの真相に紡がれてゆく…
そんな感じを期待していただけに、人間関係や過去のしがらみ等の説明が薄かったことや、後半の強引な展開と単純な結末は、あまりにも杜撰だったように感じてしまいました。
キムタクやニノをはじめ、出演者の演技が光っていて作品に引き込まれていただけに残念感が大きくなったのかもしれません。


この作品はもとからこういう物語だったのでしょう。
モヤモヤした結末や違和感に、落胆感を持ちながらエンドロールを観る羽目になったのは、勝手な思い込みと想像でギャップを作り出した自分自身の責任である。
先入観無く観れれば、もっと楽しめたかもしれない。

この作品に落ち度は無い。
ただ私自身が『鑑賞側の罪人』となっただけの話である(笑)