あもすけ

ミスター・ガラスのあもすけのネタバレレビュー・内容・結末

ミスター・ガラス(2019年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

不可能だと説き伏せるために示されるあらゆる可能性を跳ね除けて、確かにここにあるものを信じられるように、他の誰にも見えていないとしても、だから誰の保証もいらなくて、誇大妄想もクソもない、思ったなら思ったままを、誰の芽も摘まずに、ただそれぞれの可能性に向き合うきっかけだけを作れたら、あとは受け止めた者によって、いくらでも飛び火するみたく、とんでもない爆発を生むような、なんて壮大なぶちかまし方だろう。バランスをとること、均してくこと、そうして保たれる秩序のなかで、自分の存在は息ができるのか。いろんな受け取られ方をするなかで、ひとりの心で受け止めながら、湧いてくるものが凄かった。

あの精神科医の言動にいちいち敏感にムカついてしまう。翻弄されてた。ケヴィンとケイシーの、短いやり取りのなかでもじっくり目の前の相手と向き合っている素敵さにグッときていたところで、まるで道具のようにケイシーの有用性を語るとことか、内臓煮える。それでも彼女には彼女の信じている自分の役割があって、それは彼女の正義だし、社会を形成するところのとても大きなものを実際に担っている。

だから、どう受け止めるか、ということなのだった。全員に突き刺す必要はなくても、必要としている人間に漏れなく突き刺すために、世界にぶちまけなくてはいけなかった。超好き。
あもすけ

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