がんちゃん

マイティ・ソー バトルロイヤルのがんちゃんのレビュー・感想・評価

4.0
過去作のダークで荘厳な作風から一転、世界の終わりが迫っているというのに終始おふざけが止まらないコメディ映画に路線変更。『ガーディアンズオブギャラクシー』の成功、そしてDCEUの失敗の影響で「下手にカッコつけねー方がいい」と判断したに違いない。個人的には好きです。
まぁ、明るくても暗くてもとにかく「アツイ」作品ならOKなんだけどね。

アバンタイトルでレッド・ツェッペリンの名曲「移民の歌」が流れた瞬間は冗談抜きで震えた。地の底から響くようなギターリフと「アアアーアー」が雷神無双アクションにぴったり。この辺りからも『ガーディアンズ』の影響を感じる。

実はこの歌、「北欧神の加護を受けたバイキングが新大陸を目指して海を渡り、戦いに勝利して新たな王国を築く」という、歌詞がそのまま映画の内容になっているため冒頭で大体ネタバレしてしまうという素敵なお歌である。
しかし、ジミー・ペイジのクソ長いソロがなければわずか2分の楽曲を使うために、ドケチで有名なペイジに高額な使用料を払わねばならない。つまりこの名曲を使えた時点でほぼ勝ちが確定する。儲かってんなーmarvel。

地球では神様として崇められていた人たちを白人で固めるのはマズイと判断したためか、もともと1作目から多様な人種の俳優がキャスティングされていたが、本作も北欧神話の半神ヴァルキリーにアフリカ系アメリカ人のテッサ・トンプソンを起用したり、人間ですらないエイリアンの奴隷なんかも登場する。そんでもって「移民の歌」。これはイギリスから独立し奴隷解放を行なった古き良き多民族国家アメリカへの礼賛か、移民排斥を掲げるトランプ政権やノルウェーへの批判なのか。
そういえば劇中に登場したM16ライフルはベトナム戦争に投入された銃。米国の侵略戦争に使われた武器が遠い宇宙で人助けに使われてめでたしめでたし…というのは深読みしすぎかな。

あとはなんといってもヘラ様が最高!登場した瞬間からわかる「倒せないタイプのボス」感。『マイティソー』シリーズ最大の持ち味である「荘厳さ」を本作ではこの方がお1人で担われております。 ジェーンもシフもいないしね…
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