アズマロルヴァケル

グッド・タイムのアズマロルヴァケルのレビュー・感想・評価

グッド・タイム(2017年製作の映画)
3.4
妙な後味を残してくれた映画

施設でニックことニコラスは療法士によって簡単なテストを受けていた。ところがある質問でおばあちゃんを傷つけたことを回想し、涙したニックを見たコニーは勘違いし、療法士にきつく怒鳴り付けてしまう。コニーはニックに指示するかたちで覆面をつけて銀行強盗をし、最低限のお金を持って逃亡するもののバレてしまい逃亡に失敗したニックは警察に逮捕されてしまう。

コニーは一度恋人にお願いしてクレジットカードを使ってニックの保釈金にあてようとしたのだが、病院に移送されて保釈できなくなり、クレジットカードも恋人の母親が使えなくしてしまう。コニーは単独で病院に行って受刑者のいる6階に行って警察の目を盗んでニックを奪還するのだったが、そこにはニックではなく別の犯罪者だった。

映画としては前作「神さまなんかくそくらえ」と同様にテクノをふんだんに挿入していることもあり、コニーが弟たちを保釈金1万ドルを入手するかどうかを試練を積んでどうなるかをスリリングにかつ緊迫感よく描かれており、これはこれは前作を超えていて悪くない出来でした。

具体的には戦争映画「アイ・イン・ザ・スカイ」でいい役やってたバーカッド・アフディさんが遊園地の警備員でトニーにあっさりヤられてしまうという滑稽な役に出てる意外さには驚きを隠せませんが、いい加減でエゴの激しいコニーやどこか不運なドラッグの売人レイにはキャラクターが良くて人間味が溢れていました。

しかしながらドキュメンタリータッチということもあってか前作よりも寄り画が多いために逆に引き画が見たくなった映画で、というと家の中や遊園地の中は引きの画があったのですが銀行や障害者施設だとどうしても人物にフォーカスを当てたいのか寄り画が多く、描写が良くも悪くも主要人物の表情を主張している作品でした。

あとはラストでトニーが警察に追われるシーンなんかトニー視点じゃなくレイ視点になってるのはラストにレイに感情移入させたいのか?と思ってしまうのですがトニー視点でも面白いのではと。

でもタイトルの「GOOD TIME」がトニーがニックを支えるという「GOOD TIME」よりもニックが障害者施設で自由に本当のことを出せることが「GOOD TIME」だと言えるラストシーンが意外にも面白く、ある意味ニックとコニーの見えていた世界は違うんだなぁと余韻を残してくれる良作でした。