じぇれ

世界を変えなかった不確かな罪のじぇれのレビュー・感想・評価

4.5
よかれと思って行ったことが結果的に他者を傷つけることはよくあります。そして、善意が強い人ほど、大きな罪悪感を抱え込みがちです。本作は、そんな罪悪感と向き合う物語。

商業映画デビューとなる奥田監督は、丁寧に物語を綴りつつも、過剰な説明をしません。現実に転がっている問題を扱っているため、安易に答えを出さないのです。映画は絵空事であってもいいはずですが、現実に誠実な姿勢を貫いているんですね。

「この作品は、不確かなことに寄り添い、常に答えを出さない、ということを徹底し、キャスト、スタッフと手作りでつくりました」(プログラムより、奥田裕介監督の言葉を引用)

そのバランスが絶妙で、私たち観客には考える余白が残されています。

心に十字架を背負った女性2人が企てた贖罪の旅が、どのような未来を築くのか、ぜひとも皆さん自身で目撃し、考えて下さい。

現実に誠実で、かつ、映画芸術にも誠実な奥田裕介監督の未来を、私は追いかけようと思っています。

☆ロケ地となった群馬県安中駅が魅力的です。工場萌え気質の方にも観てもらいたい!

☆ラスト、ジャニス・ジョップリン”SUMMER TIME”のカヴァーにも痺れました!
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