亘

マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴーの亘のレビュー・感想・評価

3.6
【再集合+昔話+α】
ソフィーは母ドナから受け継いだホテルを改修、「ヴィラ・ドナ」としてのオープンを目前に控えていた。しかし恋人スカイはNY留学中、ビルとハリーも忙しく当日参加できない。新ホテルは明るいスタートを切れるのか。

今作は、前作のキャストの同窓会+ドナの昔話+αのような内容。特に冒頭の若かりし頃のダイナモスは、見た目そっくりで一目で誰が誰だかわかるし話に入りやすい。そこからソフィーと若かりしドナの重なり・ドナと3人の父との出会い、そして父たちの大集合と前作と重なる点が多い。逆に言えば前作を見ないと楽しみづらい。

ソフィーは母のためにもホテルオープンに向けて張り切って準備しているが、恋人スカイはNYでホテル経営勉強中、3人の父のうちビルとハリーはそれぞれ東京・ストックホルムで仕事。彼女が最も来てほしかった人たちがオープンパーティに来れないのだ。それでもダイナモスの2人ロージーとターニャが、(ソフィーを慰めようと気遣いつつ?)はしゃぐ姿は変わらないしソフィーも少し気がまぎれたかもしれない。しかしパーティ直前に嵐で海上が壊れソフィーは途方に暮れる。

一方で現在と並行して母ドナと3人の男との出会いも明らかになる。まずはパリで真面目腐ったハリーに出会い、その後ギリシャ・カロカイリ島へ向かうときに船を持つビルと出会う。カロカイリ島では廃屋で偶然サムに出会う。それからサムとの別れやカロカイリ島に暮らす理由などが次々明かされるが、驚くのは全員出会って間もなく寝ているということ。前作より寝ることへの言及がストレートだったし数も多かったしなんとなくドナの奔放さが強調されてたように思う。

嵐という直前にして最大の試練でソフィーは落ち込むけど、観客にとってはその後の展開が面白い。来れないはずだったビルとハリーがそれぞれ準備を始めるのだ。ビルははったりで仕事を切り抜けようとするし、ハリーは相変わらず「spontaneous:衝動的なんだ」といって仕事を切り上げる。そしてなんといっても一番の盛り上がりは島への到着シーン。Dancing Queenを歌い踊りながら大勢の人々が楽しそうにやってくるシーンは、まさにミュージカルの楽しさを凝縮しているように思う。さらにパーティではソフィーの祖母が現れるしソフィーはダイナモスで歌うし謎の執事シエンフエゴスの正体も明らかになるし内容盛りだくさん。
さらに同時にソフィーの妊娠も明らかになりかつてのドナ同様苦しみながらも出産する。まさに後半は幸せなシーンしかないのだ。

今作は総じてソフィーの物語・ドナの物語が交錯しなら進んで時折重なりも見えるけど、なんとなく無理矢理シンクロさせてる感もあったし色々詰め込んでいる感も否めない。詰め込んでいるとはいえ、前作のような楽しいドタバタ感があるわけでもなかったのも残念。もう少し試練に多くのパートを割いたらもっと終盤盛り上がったのかなとも思う。そうはいっても船のみんなが躍るDancing Queenとかエンドロールの新旧メンバー入り混じってのSuper Trouperとか明るい曲で楽しく踊るシーンを見るとテンション上がるし、ミュージカルの醍醐味は存分に味わえる。

でも今作最大の驚きは、横澤夏子。

印象に残ったシーン:Dancing Queenを歌うシーン。ラストの新旧メンバーが勢ぞろいで歌うシーン。横澤夏子が出てくるシーン。
亘