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ヴェノムのdm10foreverのレビュー・感想・評価

ヴェノム(2018年製作の映画)
3.8
【エディ×バディ×コメディ】

あ、そうなの?そっち系なの?
極力皆さんのレヴューにも深入りせずに新鮮な気持ちで挑んだのですが・・・これってCMの仕方やコピーのつけ方にちょっとしたミスリードを感じたのは僕だけでしょうか?

「最も残虐な悪(ダークヒーロー)が誕生する」

残虐・・・?人を食うことが?あ、ヒーローなのに人を食うってことが?
正直言って、このコピーのせいでこの作品の評価を下げているといっても過言ではないと思う。

かといって否定的な事ばかりでもない。この映画の好きな最大のポイントは「セクシー」。多分あまりそう感じた人はいないかもしれないけど、とにかくトムハがエディを演じなければ、そのままズルズル行ってしまった恐れもあったくらい、彼の画的な存在感は光っていた。あと、ヴェノムのビジュアル(肉感や存在感)に関しても結構いい感じだったしね。
アニーに寄生して「セクシーヴェノム」になっちゃうなんて遊び心だよね。

ただ・・・なんだろうか?
全体的に薄い。唐突過ぎる設定に関しては実はさほど気にしてはいない。何故なら今までの他の作品でも結構そうだったから。こういうキャラクターもので、あまり深く掘り下げた説明をしてしまうと「遊び(余白)」がなくなってしまうので、ま、そんなもんだろと。
にしても、ヴェノム=最も残虐な悪というフレコミで観ているはずなのに、相当早い段階からヴェノムがいい奴になる。特にエディに寄生してからは「心の声」としてエディに話しかけながら存在感を出していくんだけど、決して「支配してもされてもいない」んだよね。それはまるで息の合ったバディのようなやりとりで、例えて言うなら「ど根性ガエル」のヒロシとピョン吉だよ(って古い?)。

ヴェノムがエディを「俺達」と認めたきっかけも、ヴェノムが正義に振れた瞬間も、同属と対峙するまでの葛藤も、何もかもわからない事が多すぎた。ライオットに至っては強さ(凶悪さ)はおろか存在意義すらもよくわからないまま・・・。
更には地球に目的を持ってやってきたはずが、いつの間にかその目的を阻止する側に回るんだけど、何故そうなった?というところが全く描かれていないので、いつまで彼が「悪」だったのかが全くわからなかった。今作に関してはMCUとの繋がりもほぼない状態なので、単品での勝負となったことを考えれば、スケール自体が幾分トーンダウンに感じてしまうのは止むを得ないかもしれない。でも、キャラクター的にはとても魅力的なだけに「勿体無い」という思いが強く残った。

何となく「ま、こういう事情なんで」という感じでみせられ続けたというところかな。

なので、ある意味では「顔見せ興行」的な意味合いだろうなと。
現時点でスパイダーマンとのリンクはないように見えますが、実は関係を断ち切れていない要素もチョイチョイ含みつつ。
アニーとの会話で~前の仕事もしくじって、今はここ(サンフランシスコ)に流れ着いた~みたいな話があったけど、この「前の職場」ってのがピーターパーカーがいた「例の新聞社」のライバル会社。つまり、文字とおり「蜘蛛の糸1本」程度ではあるが、関係性は絶たれてはいないってことなのかな・・と期待を込めた勝手な解釈。

また、マーヴェル恒例の「エンドロールのおまけ」にて明かされる展望のほうが遥かに興味をそそられた。「うわ、あいつ出しちゃうんだ!」みたいな。
でもあれ出すなら、それこそスパイディも出さないと・・・っていう淡い期待Part2。

現在のMCUでは入ってこないにしても「New~」があるなら、なんらかの形で絡んでくるんじゃないだろうか・・・。
ただ、ヴェノムが他のヒーローと共闘するところはあまり想像できないし、正直見たくない。出来ればこんな物分りのいいヴェノムではなく、傍若無人な暴れん坊くらいにしてもいいんじゃないかなと。そういうストーリーを引っ掻き回すような奴でいいとおもうんだけどな・・・。とりあえず続編は期待しようとは思う。


最後に、出ないのかな・・・と思ってたらやっぱりいました。
スタン・リー氏。
原作本を読み漁った世代ではないので、そういう感慨という点では薄いかもしれない。
だけどあなたが作った世界観に皆が熱狂しています。あなたは間違いなくヒーローでした。
ご冥福をお祈りいたします。
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