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ラブレスのkyokoのレビュー・感想・評価

ラブレス(2017年製作の映画)
3.8
母親は愛する男が絶対に自分に「愛している」と言わないことに気づいてないのか気づかないふりをしているのか。結局手に入れたのは男の娘以下のポジション。
父親はまたもや女を孕ませ、女は自分の母親ごと安定した暮らしを手に入れたら男どころか生まれたわが子にもさほど関心がなくなってしまったかのよう。新しい生活は俺またやっちまった感でいっぱい。

失ったのは自分たちにほんものの愛情を与えてくれる唯一の存在だった。でも気づいたときには時すでに遅し。

寒々しいねえ、人間も景色も。
警察は最後までボランティア団体に丸投げ。
ウクライナのニュースはどこか他人事。
母親のジャージの胸元の「Russia」が、「お恥ずかしいですがこれがこの国の実態なんですよー」と呟いているみたいだった。
(ランニングマシンの防水性とかどうでもいいことが気になるシーンでもある)

ただ、最初に学校から連絡を受けた母親は少なからず動転しているように見えたし(父親のほうには全く動揺が見られなかった)、病院での母親の絶叫は本物だった。今さら何言ってるんだよ、と違和感がなくもないのだけど、どこかで母親としての彼女に期待してしまう自分は甘いのか。
息子にとっては見つかっても地獄、見つからなくても地獄。
ならばラストは観客に好きなように解釈してもらおうと思ったのかもしれない。
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