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ラッキーのmomokaのレビュー・感想・評価

ラッキー(2017年製作の映画)
4.2
淡々と静かに流れていく物語。
年老いた、独り身のラッキーの日々が描かれている。毎日同じルーティンをこなし、顔馴染みの人たちと言葉を交わす。ただそれだけなのに、何故か心に深い余韻を残す。

「人は皆生まれる時も死ぬ時も一人だ」
老いや死は必ず平等に皆に訪れる。いつもは弱気な面を見せないラッキーも、自分の将来や死に対して怖いと思いを吐露するシーンには胸に迫るものがあった。

ひとつひとつの言葉や会話が印象的な作品であり、哲学のような雰囲気も感じた。自分や大切な人にも死はいつ訪れるかは分からない。先のことは誰にも分からないのだ。残酷だがそれが現実である。
しかしながらそうした中でも、老いや死に対して、ネガティブになるのではなく、全てを受け入れる心をいつも持っていたいと、この作品は思わせてくれた。

個人的には、リクガメのくだりと、戦地で出逢った少女のお話が良かった。ゆっくり、まったりした気分で、ラッキーの日常を覗いてみたくなった方にはぜひオススメしたい作品です。
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