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女王陛下のお気に入りのdm10foreverのレビュー・感想・評価

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
4.3
【愛の住む場所】

まずは豪快な勘違いから決った今作の鑑賞。
そもそも、以前から大大大好物な「エマ・ストーン」と「レイチェル・ワイズ」が出演しているという時点で『見ない理由が見当たらない』という状況。
が、しかし。
全くと言っていいほどスケジュールが合わない。札幌市内の映画館は僕に恨みでもあるのかい?と嘆きたくなるほど・・・。

で、以前からタイトルが似てるな~と思っていた『ヴィクトリア女王 最期の秘密』と公開時期が被っていたこともあり、「お、この日なら見れるか?」と一瞬期待するも「なんだ、違う方かい!」と一人突っ込み状態。
仕方なく今日も「都合合わないな~」とか呟きながら、仕方なく「じゃない方」で我慢しようかい・・と劇場でチケット買って、いざスクリーンへ・・・あれ?スクリーンの前に貼ってあるポスターにはエマ・ストーンとレイチェル・ワイズが!!
・・・ずっと勘違いしてました。本当の事を言えば今日は「ヴィクトリア女王~」を観るつもりになっていたんです。でも考えてみればチケット窓口でも「えっと~・・・あ、これこれ『女王陛下の~』」って言ってた自分・・・。思い込みって怖いね~。でも結果的に観たかった方だったので結果オ~ライの巻。

・・・ということで本題。
一言で言うと「エロい映画」です。いろんな意味で。
エロいという時点で多分に期待が高まってしまう方がいたら肩透かしかもしれないけど、勿論、性的な意味合いの部分でも結構グイグイ来ますが、それと同じくらいに登場人物たちの内面がエグくてエロいんです。

「ひたすら愛を求めた女」と「愛するが故に嘘がつけなかった女」そして「愛などないから平気で嘘がつける女」が織り成す、はらわたをえぐる様な愛憎劇。

―――フランスと交戦中のイングランドの王女アン(オリヴィア・コールマン)。彼女の幼馴染で女官長でもある戦略家のレディ・サラ(レイチェル・ワイズ)とは公私共に親しい間柄。アン王女にとってサラは単なる幼馴染でも、単なる女官長でもなく、自分を愛してくれる人として必要な人間だった。そしてサラもあらゆる意味でそれに応える(このあらゆる意味でってところがこの作品のミソ)。
ある日、サラの従妹で、家が没落し上流階級から最下層へと転落したアビゲイル(エマ・ストーン)がアン王女の召使として働くこととなる。

物語はこの3人を中心に展開していく。
孤独な王女アンにとってサラは唯一無二の愛すべきパートナー。しかし、サラはアンを思うが故にストレートに物事をぶつけていく。
当初はそれがサラの優しさと思っていたところに現れたのがアビゲイル。
なんやかんや上手い事やってサラに上手く取り入ってアンに近づく。
そして、アビゲイルはアンが「満たされていない」ことを見抜き、今度は徐々にアン王女に取り入っていく。徐々に召使から侍女、寝室付き侍女へと成りあがっていくアビゲイル・・・。

とにかくエマ・ストーンって、今までここまで毒女演じた事あったっけ?というくらいドロドロします。結構際どいシーンもさり気なくぶち込まれてます。思わず「ワオ!」と言いたくなるくらいの。特に裸の男にみんなでオレンジをぶつけるだけのゲーム(何がおもろいのかは分からん)とかは「や?!今、写ったんでないの?!」ってなる。そんなモノは見たくないぞと。
逆にエマが裸でベッドで寝てたりすると「もしかして、見えちゃうんじゃ・・わ、ホントに見えた!」ってなったり。今作のエマ・ストーンは脱ぐ脱がないとかそんな事ではなく、文字通り体当たり演技だったと思う。
今までのエマの「スクリーンの中でキラキラしている演技」から「スクリーンから危険な香りが匂ってきそうなくらいの演技」が出来る様になったなと感じさせてくれる役どころでしたね。
特に「あの時」の勝ち誇った表情!一瞬だったけど凄いゾクゾクっと刺さった。

あと、レディ・サラを演じたレイチェル・ワイズ。
超カッコいい。役どころも凄く切れ味のいい「男装の麗人」みたいな印象でこれもGood。
今まで「綺麗」「可愛い」「ミステリアス」等々のイメージ(僕個人のね)に「カッコいい」が追加されました。最後まで真っ直ぐなレディ・サラの凛々しい姿はカッコいい。

・・・で、アン王女。自分が愛したのものは次から次へと自分のもとを去っていく。孤独で、孤独で・・・孤独が故に愛を求める。そして目の前にあるのは「棘だらけだけどこの世のものとは思えないくらいに綺麗なバラ」と「常に甘い香りで自分を酔わせてくれる甘美なお酒」。どんなにバラを愛していてもバラは私に抱かせてくれない。いつしか自分を気持ちよく酔わせてくれるお酒の誘惑に嵌りやがては身を滅ぼし・・・。
素晴らしかった。孤独から生まれる「渇望」「嫉妬」「猜疑心」。そしてやっぱり手に入らない愛・・・。段々と憔悴していく様は圧巻の演技でした。

あと好きだったのは舞台となった宮殿の見事な装飾かな~。まるで絵画を見ているみたいだった。「アマデウス」の時も思ったけど、やっぱりヨーロッパの貴族は桁が違うね。見栄の張りかたも含め。

なるほど【英国版「大奥」】、納得。オリヴィア・コールマンの主演女優賞受賞、納得。

そしてサンキュー、自分の勘違い。
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