橘宏樹

女王陛下のお気に入りの橘宏樹のレビュー・感想・評価

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
3.7
ゴージャスなインテリアと衣装による圧倒的な映像美と、これまたド迫力女優3人の顔どアップ長回しだけで構築された映画。長回しのなかでほんの少しずつ感情が滲んだり隠されたりする様を息を詰めながら見守る。

貴族に返り咲きたいエマ・ストーンと、戦争を推進したいレイチェル・ワイズ。目的は異なるのだから、衝突する必要もなかろうものの、その目的達成の手段として、ともに女王の「唯一の存在」のポジションを奪い合わなくてはならないのがポイント。もし女王に度量があれば、双方をそれぞれに寵愛して、それぞれが目的を達成できたかもしれないが、もし女王にそんな度量があったら、寵愛された者にそんな権勢が与えられることもないのだろう。

寂しき女王。それにしても、悲しいかな、愛されるためには、権力は役に立たない。

ちなみに、一般論として、こういう宮廷ものは、手段を選ばず、機会を逃さず、迷いなく容赦ないところは個人的に好み。ただ、空間や世界観が狭すぎるので息苦しいのが難点。
橘宏樹

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