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密使と番人のmareのレビュー・感想・評価

密使と番人(2017年製作の映画)
3.5
三宅唱の引き算の美学が集約された物静かで風景が第二の主役ともいえる時代劇。追って追われてのシンプルな構図に二層で配置された一面の雪景色が美しい。すすきの光の移ろいといい自然の奇跡的な切り取りの下で繰り広げられる命のやり取り。見つかればそこでお終い。かなり淡々としていて大袈裟なスリリングな演出はほとんど皆無であるが、トドメの瞬間が訪れれば呆気なく人は屠られ、目的遂行のための礎となる。そういう意味では映画であることを忘れさせるリアルな殺気を常に意識させてくるような異様な緊張感がある。時折放たれるOMSBのトラックが現代的なエッセンスを差し込み異色さがさらに際立つ。
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