セトヤマ

すばらしき映画音楽たちのセトヤマのレビュー・感想・評価

すばらしき映画音楽たち(2016年製作の映画)
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映画と音楽は切っても切れない関係だ。
映画プラス音楽ではなく、映画カケル音楽、であろう。

視覚に訴える映像と、聴覚に訴える音楽とが合わさり、
時間芸術として作品は昇華していく。

今作はハリウッド的視点から見た映画音楽のあり方を解いている。
「良い意味でも悪い意味でも音楽に希望が持てる」という表現、
この映画を見終わった時、その言葉を聞いて、なるほど、と思ったのだ。

作品はとてもよく出来ている、
ドキュメンタリーとして面白さに溢れ、
90分間退屈させないスピーディーな編集、
数々の名曲が散りばめられ、多くの偉大な芸術家たちの言葉から、
創作の楽しさ、音楽の持つ力、素晴らしさが語られる。
もちろん彼らなりの苦悩なども多少は描かれるけども、
全体通して、ポジティブな映画である。

ただこれは白鳥なのだ。
水上の白鳥を眺めて美しいなと素敵だなと感動すること、それに近い。

なぜなら語っている人たちは世界的に最高の環境で成功し、
本当に一握りのトップであり、ピラミッドの頂点に位置する人たち。

そういう意味で言えば、ファンタジーに近い。

作品は映画音楽の歴史を紐解いていくが、
それは結局ハリウッドに限定される。
多少モリコーネが出てくるが、
概ね、それ以外の国の作家は蚊帳の外に置かれる。
視点がボケないという意味では効果的であり、
余計なものを排除して、伝えたいことを絞っていると思う。
だからこれで良いと思う。
僕はエンドロールで感動した。

良い作品だと認めるけれど、これが全てではないなと。

ただやっぱり映画と音楽のタッグは本当に素晴らしい。
無限大に広がる創作の世界を垣間見れることは間違いない。
良い映画には良い音楽、間違いない。