セトヤマ

世界で一番美しい少年のセトヤマのレビュー・感想・評価

世界で一番美しい少年(2021年製作の映画)
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「ベニス死す」は疑いようもなく映画史に輝く傑作であり、
僕も多くの影響を受けた一本。
だからビョルン・アンドレセンのドキュメンタリーに惹かれた。
もちろん映画外であった出来事もある程度は知っていた。

この作品で興味深いのはアンドレセン自身は多くを語らない、ピアノを弾いたり、佇んでいたり、現在の問題も描かれる。

そこに彼の過去の映像と、
様々な彼に関係する人々のインタビューが挟まる、
現実と過去が交差する映像から浮かび上がるビョルン・アンドレセンの姿。

色々と言う事ができる、思う事もある。
アンドレセンの彼にしか経験できなった出来事に思いを巡らせる。

ただ「過去の事だ」として彼の境遇に涙を流す恋人を慰めるアンドレセンの姿は印象的だった。

ラスト、「ベニスに死す」とカットバックする現在の彼の姿、僕には十分美しく感じた。

ビョルン・アンドレセンが今までの人生の上にそこに立っている、還暦を超え様々な出来事の経験して、
それをこの映画では切り取っている。