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トロイのNMのネタバレレビュー・内容・結末

トロイ(2004年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

歴史は苦手でも割りと大丈夫だと思う。
物語を知らない人にもおすすめ。

人物
アキレス…ギリシャの兵士。強いが誰にも従わない。名誉は欲しい。
アガネムノン王…ギリシャ各国を手中に収め、海を挟んだ隣国トロイ王国が次の標的。強欲で非道。アキレスに手を焼いている。
メネラウス王…アガネムノン王の弟。和平交渉翌日に妻を略奪され屈辱を晴らすべく兄王とトロイへ攻めこむ。
トロイの王子兄弟…若いイケメン兄弟。兄ヘクトルは強く優しい。弟パリスは戦争経験がなく愛で見境いがない。
巫女ブリセイス…トロイ王族で王子兄弟のいとこ。美女。戦さに巻き込まれ捕虜となってしまう。アキレスに見初められる。


BC12。どんどん同盟国(実質配下)を広げるギリシャ。それを治めているミュケナイの王アガネムノン。
テッサリアとの対決。お互いの戦士を一人出し決闘で決めることに。
女と寝ているところを起こされやってきたアキレス。
アキレスは国王を全然尊敬していない。国王はアキレスに頼らざるを得ないので仕方なく我慢している。
決闘はアキレスの圧勝、テッサリアも配下となった。

一方スパルタでは、トロイの王子二人が和平交渉の宴に訪れていた。
トロイは貿易で栄える魅力ある国。
実はこのスパルタ王の美しい王妃ヘレンとトロイの美しい王子パリスは不倫中。
燃え上がったパリスは帰路、なんとヘレンを連れ帰ってしまう。

これではもちろん和平撤回。
パリスはヘレンのためなら命も惜しまないつもり。
兄王子ヘクトルは愛する弟が殺されては困るので仕方なく王妃もそのまま連れ帰る。

妻を取られたスパルタ王ミネラオスは怒り爆発。
早速兄であるミュケナイ王アガネムノンに協力を頼む。
しかし実は兄アガネムノンは弟もその王妃もどうでも良く、ずっと欲しかったトロイを奪うチャンスと喜んだ。
かつてない大きな戦さになるので、本当は嫌だが今回もアキレスの参戦は欠かせない。

アキレスは国王のもとで戦うのが嫌い。
そこで友人であるオデッセウスが送られ、アキレスを説得する。
トロイの戦で活躍すれば英雄としてその名は長く語られるだろうと。
アキレスを含むギリシャ各国の兵はトロイ王国へ向かう。

大量のギリシャ・スパルタ軍の船がトロイに着くと、アキレス小隊の乗る舟一艘が陸に着け戦闘開始。
他の船たちも続き、トロイ軍は一旦退却。浜辺を占拠した。(アガネムノン王はずっと海上)
その後トロイの兄王子ヘクトルたちがやってきてアキレスと対峙したが勝負はお預けとなった。

このときトロイ王子のいとこで巫女のブリセイスがアキレスの捕虜となった。
美しく、アキレスを恐れない気高い態度を見て安全を保証してやった。

しかしアガネムノン王はそれを知り、ブリセイスを奪って自分の奴隷とした。
トロイは制したも同然なのでもうアキレスは必要ないと判断したのだろう。
アキレスは咄嗟に剣を抜いたが彼女に止められその場をこらえた。
二人の仲は完全に決裂。

戦況が悪化したトロイ。
王子パリスはこの戦争の責任を感じ、ヘレンを賭けて王と決闘すると宣言。

翌日。
トロイの城は頑丈な城壁で守られており弓兵も揃っている。
ギリシャの大軍がゆっくりと浜辺からやってきた。
アキレスはへそを曲げて自テントから様子を見ている。

決闘の申し出は受諾された。
若いパリスに戦争の経験はない。
復讐に燃えるミネラオス王は盾すら持たずにパリス王子を圧倒。
兄ヘクトルは思わず助太刀、ミネラオスを刺し殺してしまう。
戦争開始。

だが一気に攻めてしまったギリシャ軍は次々と弓兵の餌食に。
驕っていたギリシャ軍は再び船に戻っていた。
一転ギリシャ軍は劣勢に。

その晩、アキレスは捕虜ブリセイスを奪い返し、ブリセイスもアキレスに身も心も許す。
アキレスはもう帰国の準備。

アガネムノン王は再びアキレスを頼る。というかまたイタケの王パドロクロスを遣いに送る。

翌朝トロイ軍はまだ暗いうちにギリシャ軍を奇襲。
ギリシャ軍は慌てふためき、背中は海なので下がることもできない。

そこへかけつけたアキレス隊。
ヘクトルとアキレス、決着のとき。
ヘクトルがアキレスに致命傷を追わせ鎧を外してみると、アキレスではなくその若い従兄弟パドロクロスだった。
彼はずっとはアキレスに稽古をつけられてはいたがまだ戦さに出ることを許されずにいた。
どうしても戦に出たかったパドロクロスは、帰ってしまう前にアキレスの鎧を着てアキレスのふりをし、隊を率いて前線に向かったようだ。
声も動きも似ていたので隊も含めて全員あ然。

アキレスはふつーにテントにいた。その知らせを聞き怒り暴れる。
その日は弔いをし、翌日改めて決闘へ。
捕虜ブリセイスは、ヘクトルは私のいとこだから殺さないでくれと頼んだが聞く耳を持たない。

ヘクトルは初日にアキレスの能力を見ているので死を覚悟している。
アキレスは城の前に立ち大声でひたすらヘクトルを呼んでいる。
父王は最愛の息子を失う覚悟をしつつ送り出す。
王子の妻は最後まで止める。赤ちゃんは泣く。
ヘレン王妃は常に自分の責任を感じいたたまれない顔をしている。
弟王子はただしょんぼり。

怒りに燃えるアキレスは圧倒的な力で勝利を治め、ヘクトルの遺体を馬車で引きずり帰っていった。
父王も弟もその様子にショックを受ける。
テントにいた捕虜ブリセイスは泣き崩れる。

その晩、アキレスのもとに一人でやってきた優しい父王プリアモス。
遺体を返してくれと懇願した。
その勇気と、父が息子を思う様子にさすがに断れないアキレス。テントの外で思わず感極まる。アキレスは幼くして父を失っており、あのいとこはとても大事な存在だった。
プリアモス王とともに巫女ブリセイスを帰してやり、弔いの12日間は攻撃を控えると約束。

12日後。
父王たちがギリシャ軍の浜辺に行ってみると、疫病らしき斑点のある多数の遺体、舟の残骸、そして大きな木馬だけを残し、舟は全ていなくなっていた。
ギリシャ軍は消耗戦ののち疫病で退却し、木馬は帰路の無事を願う捧げ物だろうと判断。
王たちは勝利の証に木馬を場内に持ち帰った。
王子だけはこれは焼いたほうが良いと訴えたが聞き入れられなかった。

夜。
木馬から次々と抜け出すアキレスたち。場内は勝利の宴のあとでみんな眠っていた。
別の浜辺で隠れていた全軍を城に呼び込む。
ただこのまま制圧すれば巫女ブリセイスもギリシャの奴隷にされかねないので、アキレスはブリセイスを探し出す。
連れ帰ろうとしたそのとき、王子パリスの矢がアキレスの腱を貫き、動けなくなったアキレスはそこで倒れた。

アキレスの遺体は木馬とともに火葬された。

戦術がどうこうという話よりヒューマンドラマといった感じで、悪党とそれ以外の描き方がわかりやすく観やすい。
トロイの王族たちがとても優しい。命を大事にする。戦争の原因となった二人のことをよく思わない人もいたはずだが基本みんな忠誠を誓っていて勝利を信じている。対してギリシャ軍は寄せ集めであり連帯が薄くも見える。
アキレスは死を恐れず、逆に言えば生に執着していない。いつ死んでもいいと思っているが、その価値観を揺るがす出来事が度々起こる。
基本的に悪党と腕自慢たち以外は、できるだけ戦争はしたくないと考えている。大勢の仲間を失うし、家族も危険に遭う。それに抗うため、お互い戦っているというマッチポンプ状態が戦争。

遺体にコインを乗せる風習は日本の六文銭と似ていて興味深い。
トロイの民たちが浮かれ騒ぐとき棕櫚の葉を振り回しているのを見て、聖書にある描写はこういうイメージなのだと知った。オリンピックの小旗のような使い方というか。
ギリシャの服というと白を思い浮かべるが、ここではみな様々な青紺に絞り染めされたグラデーションの服と、さらに空と海と青、城と浜辺の茶色などのコントラストがとても綺麗だった。
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