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南部の唄のtetsuのレビュー・感想・評価

南部の唄(1946年製作の映画)
4.3
古本屋で発見した『メリー・ポピンズ』のパンフレットに書かれていたので鑑賞!

里帰りとして南部にやって来た上流家庭一家。
父が帰らないといけなくなったことから、母とともにとり残された少年は寂しさを感じてしまう。
そんな折、地元の老人リーマスおじさんと出会った少年は彼の作り話から勇気をもらうが...。

ディズニーランドのアトラクション「スプラッシュ・マウンテン」の原点となった作品であり、「白人と黒人が仲良く交流している」という理由だけで社会的に消されてしまったディズニー幻の名作。

現在の日本では過去に売り出されたVHSが流通している程度であり、メルカリで販売されている中古の価格を見てみると25000円という高額商品に..。
というわけで、観たいけどお金がない僕は〇〇〇〇動画にアップされている動画を鑑賞しました。笑

アニメパートとなるおじさんのつくり話ではスプラッシュマウンテンでお馴染みのキツネとウサギが登場しますが、この組み合わせが数十年後に『ズートピア』でも繰り返されたと思うと何とも感慨深い...。

また、『メリー・ポピンズ』同様、教訓的な側面が強い作品でもありました。
・あいさつの大切さ
・頭を使えば力に勝てること
・どんなときでも遊び心を持つこと
これらのメッセージが、おじいさんの語る物語ないしは作品自体を通して楽しく伝わるようになっているので、子供への道徳教材としても、
うってつけの作品と言えるのかもしれません。

本作は前述の通り、おじさんのつくり話に勇気をもらった少年が成長していく物語でしたが、それは突き詰めるとウォルト・ディズニーの
「フィクションに対する価値観」にも通ずるようにも感じます。
メリーポピンズ誕生秘話を描いた映画
『ウォルト・ディズニーの約束』では、
トム・ハンクス演じるディズニーが「フィクションは現実の人々に夢や希望を与えてくる存在」と語っていましたが、今作ではそれにとどまらず、「フィクションは現実さえ変える力を持っている存在」として描かれていました。
本作の製作でウォルト・ディズニーがどれ程関わったのかは知りませんが、少なくとも本作は、そんな彼の精神を引き継いだ一作と言えるでしょう。

と、それを踏まえた上でラストを観ると、現実とフィクションが混じりあう「映画ならではの映像マジック」に胸を打たれるはずです!

というわけで、人種問題が原因で今では観ることが難しくなってしまった本作。時代が変わり、様々な人種が受け入れられる今になったからこそ、もっと多くの人に知ってほしいディズニー映画の隠れた名作でした!!

参考

『ズートピア』続編2作が進行中か - シネマトゥデイ
https://www.cinematoday.jp/news/N0106637
(続編の噂もあるという『ズートピア』。長い時間を経て、差別や偏見を描けるようになった本作に社会の変化を感じます。)

『南部の唄』って結局何が問題だったの?という話|Red Notebook
https://x.gd/1csmO

2019/2/7追記
#シリーズ:実写×アニメ
を追加しました

2022/8/23
参考リンクを足しました。本作の問題点が書かれています。
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