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変な家のtetsuのレビュー・感想・評価

変な家(2024年製作の映画)
3.9
試写で鑑賞したものの、世評があまりにも悪いことに納得がいかず、投稿。

オカルトYouTuber・雨宮。彼の次なる題材は知人に紹介された「変な間取り」の調査だった。変わった設計士・栗原、カギを握る怪しい女性・柚希らと共に「家に隠された謎」を追う彼だったが、その背後には予想だにしない真実が待ち受ける……。

原作読破済み。
そもそも本の読了後、「読みやすく売れるのも分かるけれど、メッセージ性は皆無やなぁ~」とか、「いかにも流行りのエンタメで数日後には忘れるなぁ~」という印象を抱いていたため、映画の脚色には割と好感(とはいうものの、雨穴さんの小説は3冊所持している)。

間取りミステリーとして少人数の会話劇で進行する原作を、万人が楽しめるエンタメとして、大胆にもホラー要素・犬神家要素・ドラマのお約束要素マシマシでまとめようとする志に満ち溢れており、かなり好みだった。

そもそも、石川監督は前作『ミックス』でもコメディながらもドラマ要素で手堅くまとめようという気概を感じていたが、それは本作でも同様。

原作の要素を換骨奪胎した上で「家」というモチーフから、ドラマ映画として何を落としどころにするかというアイデアには、純粋に感心させられた。

また、テレビ畑の監督は「世にも奇妙な物語」でもいくつかのエピソード(「呪い裁判」「ドッキリチューブ」「復讐病棟」「ふっかつのじゅもん」ほか)の演出を手掛けていたと聞いて納得。

設定など要所要所に突っ込みどころはありつつも、限られた時間にアイデアを盛り込もうとする作風には近いものを感じた。

そんなに叩くほど悪い映画かというと、そうではないと思うので、是非、見た上で判断していただきたい本作。

何なら直近の家ホラー映画『スイート・マイホーム』に求めていたものがあったし、公開中のサスペンス『マッチング』よりは全然好きだったという個人の見解は先にお伝えしておく。

ちなみにパンフレットには、割と貴重な原作者・雨穴さんの映画版に対する思いと、監督のオマージュ元への言及があるため、割とオススメ。

個人的には、ぜひ続編も作っていただきたい一作でした。

参考

【不動産ミステリー】変な家 | オモコロ
https://omocoro.jp/kiji/253078/
(こちらがムーブメントの原点となったWeb記事。のちに雨穴さんがYouTubeにて動画版を投稿。これらの内容を起点に大幅増強した書籍版をリリースし大ヒットしたことで今回の映画化へと繋がる……。)

『変な家』なぜ賛否分かれる評価に? WEBと映画の繋がりが指し示す業界の未来を考える|Real Sound|リアルサウンド 映画部
https://realsound.jp/movie/2024/03/post-1610323.html
(興味深い分析記事)

【変な家】察しの悪い雨穴
https://youtu.be/taTXscy0yrA?si=BTFzFqR_FsR_3fzt 
(雑パロディゆえに原作者が怒り心頭の可能性ややありだが、配給会社の次に宣伝効果があるのではとすら思っているw)
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