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君は放課後インソムニアのtetsuのレビュー・感想・評価

君は放課後インソムニア(2023年製作の映画)
5.0
眠れない夜に鑑賞。

不眠症の男子高校生・中見(なかみ)は、同じ悩みを抱える女子高生・曲(まがり)と出会う。互いの大切な居場所・天文台を守るため、天文部を結成することになった二人。困難を乗り越える中で、彼らは大切な気持ちに気づき始める……。

ちょっと、文句無しで良すぎましたわ……。『夜明けのすべて』があまり刺さらなかっただけに個人的には断然こっち派。

主演・森七菜(『ラストレター』)&奥平大兼(「最高の教師」)×主題歌・TOMOO……。

この布陣だけで好みの大渋滞にも関わらず、お気に入りが多い青春映画ジャンルかつ、邦画界でも手堅い監督&脚本家コンビということで蓋を明けてみると、大傑作。

1mmも邪気を感じられない奇跡的な森七菜さんの存在感は去ることながら、それを最大限に引き立てる奥平大兼さんの慎ましさ。
さらには、萩原みのりさん、工藤遥さん、でんでんさんを筆頭にした脇役陣の安定感。
各人物が「時に厳しくも優しい」物語の根幹を支えていたようにも思う。

自分の心に素直であること。
何かとおろそかにしがちな本当の気持ちから逃げずに向き合うこと。

大きな事件が起こるわけではないけれど、苦難が立ちはだかる度に、ささやかな幸せを大切にしようと奮闘していく登場人物たちがただただ愛おしい。

気の合う人が隣にいるだけで気づくと眠りについてしまっていたり、大切な人が苦しんでいる時に何とか力になりたいと願い事をしたり……。

なんてことない描写の積み重ねに、家族・友人・恋人、さまざまな関係性における「愛」が表現されていて、後半にかけて自然と泣いてしまった……。

"過去"に抱く悔恨や"未来"を案じる不安。
そこからは逃れられないけれど、"現在"を大切に生きること。

自分の信条に近いものを作品全体から受け取り、愛さずにはいられない傑作だった。

参考
TOMOO - 夜明けの君へ【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
https://youtu.be/Wb7ExzxOAKo?si=vKRc9FnO8dsu5tsO 
(映画の書き下ろし主題歌として完璧と言わざるを得ない。)

TOMOO、初の書き下ろし楽曲「夜明けの君へ」が、森七菜、奥平大兼ダブル主演映画『君は放課後インソムニア』の主題歌に決定!「澄んだ真心を汲み上げたい一心で書きました」 | PONY CANYON NEWS – ポニーキャニオン
https://news.ponycanyon.co.jp/2023/04/84602
(ポニーキャニオン配給ゆえの強さとも言えるかも。映画&アーティストでベストな組み合わせを心得ている。)

【未公開映像】森七菜と奥平大兼と工藤遥の3人が食卓をカレーで囲むシーン|映画『君は放課後インソムニア』
https://youtu.be/W7bnq0Y_H3k?si=Tp0DnpnoIwZW6Rp9
(『君は放課後インソムニア20 ファイナル』までやってもらっても良いレベルの尊さ。)

「君は放課後インソムニア」特別映像〜ひとりじゃない〜
https://youtu.be/j_SSyaBfnhI?si=C148k050sP5agBsZ
(ロケ地が石川県七尾市ということで急遽制作された映像。概要欄に募金ページあり。)
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