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少女邂逅のstのレビュー・感想・評価

少女邂逅(2017年製作の映画)
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「邂逅」の確率論的な序文から始まる本作。「箱」「女子トイレ」「電話BOX」「カーテン」等々、「内→外」のモチーフが多用され、精神的な「脱皮」(=「少女→脱少女」という翻身)を遂げていく。
心を豊かにし「言葉」を獲得して行く(言葉を「紡いで」行く)ミユリとは裏腹に、そんな人間の内なる営みに終始懐疑的なツムギ。その訳はラストシーンで明かされるが、これら対照的な2人を鏡の様に反射させ合う中に、「キミ」(=第三者的視点を獲得した自己)が現れる。2人で撮り合うカメラとはパラレルに成立する視点や書店の中での視線、あるいは喫茶店内でのにじり寄るカメラワークなど、2人の共時性の中にチラつく「他者」の存在が抗うことなく意識される。
ついには自らツムギの「糸」を紡ぎ出すミユリ。他方、自らを賭してミユリの成長に資するツムギの姿は、さながら蚕の一生に重なる。狭い部屋で餓死する運命にある蚕は、「生まれ変わりの石」まで「飛んで」行くことに強く憧れる。
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