たつかわ

ゆずりはのたつかわのレビュー・感想・評価

ゆずりは(2017年製作の映画)
4.0
寄り添う

物まね芸人のコロッケが主演、葬儀屋のとても真面目な部長役を演じています。コロッケは顔の筋肉を大きく使うことにより物まねをしていますが、本作では自慢の頬肉を全く動かさないことで、笑わせることはありません。

私の葬儀屋のイメージとは、最近では少子高齢化で良くも悪くも潤っている業界というイメージですが、本作では仕事としての葬儀屋の難しさを教えてくれます。劇中では励ました一言が、相手を傷つけてしまうことも。

本作の話の軸は、コロッケの葬儀屋に新しく働くことになる若者の成長です。本作を観て初めて知ったことですが、葬儀屋は泣くことは御法度であることです。彼は主人公と初対面となる面接の場でも泣きますが、主人公は何かを感じ取って彼を採用します。主人公のモットーは「相手に寄り添うこと」です。しかし、彼は軽薄に見えますが、実は遺族にしっかり向き合い、自然体で心に寄り添う豊かな感受性の持ち主で、主人公も影響されます。

目の見えない男性を無くした予算の少ない遺族、いじめで自殺してしまった娘を持つ遺族など様々な顧客等を相手に展開されるお話、亡くなった奥さん、社長との話で最後まで全く飽きることはありません。原作、もしくは脚本は素晴らしいと思います。一方で、二時間ドラマと思わせる毒にも薬にもならない劇中の音楽であったり、葬儀屋に来た暴虐非道というべき女子中学生の存在など首をかしげるところが結構あります。

「ゆずりは」というのは、木の名前です。この木の意味を最後に説明されますが、とても良いタイトルです。
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