ちくわ

累 かさねのちくわのレビュー・感想・評価

累 かさね(2018年製作の映画)
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💋欲を持った人間たちの普遍的な物語💋(キス魔の話ではない)
現実に起こった出来事が舞台のストーリーと並行して語られていくスタイル、Wの悲劇がオカルトになって現代に蘇った感じ。W朝ドラヒロインで。

土屋太鳳、身体能力抜群。
芳根京子の目つきに度々ゾッとした。

難しい設定なだけに、演じ切った二人は凄い。

実績を重ねどんどん強くなる累(駄洒落ではない)、反面外堀を埋められていき追い込まれていくニナ、そして最後は反撃に出て、ついに対等にぶつかり合う二人。最後の盛り上がりへの持っていき方が上手い。ただそうなることで今はどっち??ってなる弊害が後半生じてくる。二人の立場が完全に逆転することによって、前半の二人の印象とごっちゃになり混乱するから。でもそうやって敢えて分かりづらくしてる狙いだろうし、それはこの映画を見る上で重要なキーワードでもある「目に見える物ばかりに囚われるな」という訴えにも繋がってくると思うから。

累とは? ニナとは? 演じている役者を超えて、次第に二つの人格が高次元的な存在になっていくのが面白かった。

ポイントとして、主人公の累が揺れ動く時、鏡が重要なアイテムとして使われているシーンが見ものだった(この手の映画では定番の手法なんだろうなとシャイニングやブラックスワンを見ても感じる)。このまま姿を変え他人を偽り続けるのか、それとも中身まで他人になりきり、その偽りを真実に塗り替えてしまうのか、その岐路に立たされ悩む時、鏡の中の本来の自分が、そして自分のもう一つの影である母親までもが(口紅に囚われた人間の末路なのかはたまた主人公が作り出した妄想なのか)、鏡の向こうから自分に問いかけてくるのだ、本当にそれでいいのかと(口紅の呪い?)。
そして次第に自分が自分である定義、アイデンティティが曖昧になっていき、最後には偽物が本物を超える瞬間が訪れるのである。
やっぱこれってホラー? 


そういえば口紅の由来、気になってたけど結局最後まで何も説明されなかったな、、、
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