ぴのした

クワイエット・プレイスのぴのしたのレビュー・感想・評価

クワイエット・プレイス(2018年製作の映画)
4.0
面白かった!!!設定勝ちの映画ではあるんだけど、ちゃんとストーリーもキャラクターも演出も良くできていて好みでした。

まずは設定が良いよね。世界観の作り込みが良かった。

この世界で生きる家族の工夫が淡々と映像で示されていくんだけど、砂を引いて裸足で歩くとか、危なくなったら畑に張り巡らされた電球を赤くするとか、子供が生まれるのに備えて酸素ボンベと防音の箱を用意しておくとか、よく考えられてる。

電気はどうしてるのかとか、世界崩壊後一年足らずでここまで畑を育てて防犯カメラまで設置できるのかとか、あれだけ畑の中音を立てて走っても平気なんだから床軋む音とか靴で歩く音くらい平気なのでは?とか、クリーチャーがどうやって人間の音とそうでない音を見分けてるのかとか、かなりガバガバなところもあるけれど笑

でもそのガバガバさがどうでもよくなる程、この映画ちゃんと面白い。崩壊した世界でひっそりと暮らす4人の家族の話なんだけど、家族みんなキャラがすごく立っていて良い。

子供をクリーチャーに喰われて後悔しているお母さんと、優しいけど臆病な長男、強がりでお父さんと仲が悪い難聴の長女、工夫しながら一家を支えるお父さん。

この性格設定が最後の方に活きてきて、ラストは「うおおお!お前らいい顔するやんけ!!」とテンションが上がる。

セリフが全体的に少ないので、面白さは演者の演技にかかってる部分があるんだけど、むちゃくちゃみんな上手くて、かなりのめり込んだ。

赤子を抱く長男の情けなくも芯が強い表情や、反抗期の長女が勇気を出して敵に立ち向かう姿、そして最後のお母さんの「さあ、やってやるわよ!」みたいな顔がたまんない。配役もベストよねえ。長女全然可愛くないんだけど、それが良い味出してる。

音響も良かった〜。長女の画面だけ完全に無音になるのとか、緊張感を出しつつ、緩急がついてて、ここはビビるべきシーン、ここはビビらなくてよいシーン、がわかってよい。クリーチャーの木製打楽器のようなカナカナ鳴らす音もよい。

最初は静かなところからいきなり大きな音を出せばビビるやろ??みたいな演出がだるかったんだけど、後々からストーリーと動き出してくると気にならなくなった。

クリーチャーのデザインも、世界設定を忠実に表現していて良かった。極端にデカイ耳と、目のない顔。任天堂のゲームをやり込んできたので、普段は硬い装甲で覆われているけど、吠えたり弱ったりすると柔らかい肉が剥き出しになり、そこを狙える、というのがよくわかる。

やっぱり最後のオチのつけ方が良いからここまで面白かったと思えるんだろうな。伏線はありつつも、どうオチるか最後までわからず楽しめる。そこで長女とお母さんのあの顔で締め。その大事なシーンでセリフが最後までないのも美しい幕切れよね。映画的だわ〜。決して続編なんか作らないでこれで終わって欲しい。