keith中村

トップガン マーヴェリックのkeith中村のレビュー・感想・評価

5.0
 コッテコテの親父接待を、本当にどうもありがとうございました。
 堪能させていただきました。ごちそうさまでした。
 
 のっけからガス・ヴァン・サントの「サイコ」みたいな完コピ状態。
 ここでまずはツカミはOK!
 
 そんでもって、マッハ10のところで、エド・ハリス登場!
 これって「ライトスタッフ」オマージュなキャスティングですよね? まあ、「ライトスタッフ」なら、サム・シェパードakaイェーガーさんを登場させるべきなんだけれど、エド・ハリスは「ゼロ・グラヴィティ」でもグラウンド・コントロール側の声やってたから、なんか「めっちゃ速い系」「宇宙系」には「ちょっとエド・ハリス借りてくるわ」みたいなノリができつつあるな。
 あっ! 「グラウンド・コントロール」といえば、デヴィッド・ボウイだけれど、本作では「レッツ・ダンス」だったよね!
 っていうか、ピート・ミッチェルakaトム兄さんは大尉から大佐か! もはやMajor Tomじゃないんだ!
 
 それにしてもジェニファー・コネリーの「お前誰や感」がハンパじゃなかった。
 マーヴェリックの過去を知ってるキャラが作劇上必要なのは間違いないんだけれど、「うわー、ジェニファー・コネリー、めっちゃ俺たちにミッシング・リンクを説明してくれてるやん」という役どころだった。
 鐘を鳴らされたトム兄さんが「What am I missing?」つってたけど、こっちも「誰? お前おらんかったやろ? 俺、何か見逃してた?」ってなります。
 
 ヴァル・キルマー、ほんとに咽頭癌で声が出なくなってたんですね。後で知ってちょっと悲しくなりました。お大事に!
 
 そんでもって、メグ・ライアン、殺されとるし(笑)。結局、トム兄さんが隠してた真相はルースターには明かされることなく、「死地から戻った二人の友情だぜ!」って力業の和解に着地しちゃってましたね。楽しいから、別にいいんだけど。
 
 第三幕はがっつりエピソード4。(←そうなることは結構な序盤で予告されてたけどね)
 エンドロールにスカイウォーカー・サウンドもクレジットされてましたが、ルーカス師匠、ちょっと怒っていいレベルだと思います。観てるこっちは笑ったけど。
 
 本作が珍しいのは、あからさまな四幕構成になってること。(後はほとんど「ハート・ロッカー」くらいしか思い出せない……)
 「デススター爆破! めでたしめでたし」でもいいのに(その場合はルースターとの和解を先に描かなきゃだけどね)、「トム兄さんロスト!」からが尺的にもがっつり締めの四幕目でした。
 そこでまた「エピソード4」入れてくるじゃん! ハン・ソロの「助けに来たぜ!」ね。
 これ、絶対そうだろうなと思ってても、「待ってました!」って昂奮しちゃいますね。もはや様式美。
 それに、味方のフリをして潜入・脱出も、かなりなSW感! まあ、これは映画においていっぱいあるから、SWだけじゃないけどね。
 
 前作ではミグミグって連呼してたけど、今回は敵の国名すら言ってませんでしたね。
 "Rogue Country"とか言ってたっけ? そこもSW感があるし、M:I感もある。
 
 物語の背骨は、「かつて失った親友グースの息子ルースターとの和解(親子でコールサインが鳥なんだね)」で、これはまあ、「トップガン」の続篇があるなら、それ以外に考えられない素晴らしい設定なんだけれど、それをこってりコーティングしてるストーリーがエピソード4なんで、何というか観ててかなりの「SF的トンデモ感」がありました。
 でも、それもトム兄さんが我々を何としてでも楽しませようと思ってくれてる意志の力なんで、私ゃ全肯定しますよ。
 
 エンディングは「甲板の上での男同士の熱き抱擁」で終われたのに、「お前誰やねんakaジェニファー」が居るために、「ベイビードライバー」と同じラストが必要になってたよねえ。まあ、許すけど。
 
 余談ですが、ジェニファー・コネリーの店名が「The Hard Deck」で、これも前作のセリフから採られてる。いちいち細かい親父接待なんだよ~!(嬉し涙)
 ちなみに"hard deck"とは、それ以下になると戦闘機が地面に打ち付けられてしまう最小高度のことで、これ自体が今回の作品の重要なキーになってるところも憎たらしい!
 
 前作は高校3年の冬でした。
 これ、誇張じゃなく、クラスの全員近くが観に行ってたよ! 男も女も!(その証拠に同い年の会社の同僚女性に訊いたら、高3で観に行ったって言ってたし)
 それくらいの人気作でした。受験直前だったのにね。
(余談だけれど、そのすぐ後、京都の滑り止め大学に前泊で受験しに行った私は、チェックイン後、新京極にカーペンターの「ゴースト・ハンターズ」を観に行き、ホテルの部屋で深酒して翌日入試に赴きました。見事に落ちましたですよ、はい)

 まあ、当時すでに鼻持ちならない映画マニアだった私は、「リドリーの弟の作品だと思って観たら、なんだよ。スタイリッシュだけれど、どうでもいいストーリーだったよな」みたいに嘯いてました。まあ、当時トム兄さんのヘアスタイルは真似たんだけどね。
 とはいえ、本作冒頭の「完コピ」もそうなんだけれど、「トニー・スコット文法」って、実は映画史上におけるかなりな功績だったんじゃないの?! と今さらながらに思いました。本作クレジットでもトニーさんへの献辞がありましたよね。
 やっぱ、このスタイリッシュさは凄いわ。
 
 そう言えば、日本では「トップガン」のちょうど一年前に~♪ 封切されたのが「BTTF」でした。
 こっちも誇張じゃなくクラス全員観に行ってた映画(こっちはまだ受験生じゃなかったしね)。
 BTTFはさ、続篇からいきなり後付けの"Nobody calls me CHICKEN"設定が入ったじゃん?
 その意味では本作の「その眼はやめろ」「普通だよ」って、あれ前作にあったっけ? BTTF的な後付けじゃないの?!
 まあ、そこもそうやってBTTFを思い出せたので、良しとしましょう!
 
 ジョセフ・コシンスキー監督、マジでグッジョブでした!


(追記)
あのさあ、豊洲の10番スクリーンさあ。
IMAXを除いては国内最大級を標榜してんじゃん?
でもさ、ずっと思ってたのさ。
「これ、プロジェクターの性能が低すぎて、いっつも暗くてピン合ってないじゃん」
今日は違った!
もしかしてプロジェクター入れ替えた?
ピンがバキッと合ってて、かつ明るかった!

本当は18:45の回に行こうと思って予約してたのに会議が延びて行けなくて、20:00の回に行ったんだけど、でトータル2800円の出費だったんだけど、その価値有ったわ!
ユナイテッド・シネマ豊洲もグッジョブでした!